南では「お嬢さん」 北では「奴隷」 ─ 朝鮮半島で進む言語分断

〔ハングルで書かれた看板の前を歩く少女AFPBB News

 韓国消費者院は4月22日、「市販されている32の白首烏(ペクスオ)入り製品の遺伝子検査をしたところ、3つの製品以外は食品に使ってはならない異葉牛皮消を主原料としているか、あるいは一部使用している」と消費者に注意喚起する発表を行った。

 白首烏入り製品は、更年期障害の改善や免疫力の強化などの効能があるということで、最近中高年(特に女性)の間でブームになっていた。韓国内の市場規模は3000億ウォン(約300億円)規模と言われる。

 このニュースは健康食品に目がない中高年たちを驚かせただけでなく、ある上場会社の株を持っている人たちにも衝撃を与えた。

 その上場企業とはナチュラルエンドテック。韓国消費者院は、6つの健康食品メーカーに原料となる白首烏複合抽出物を提供しているナチュラルエンドテックの原料を検査した結果も異葉牛皮消が検出されたという。

 同社は、近年の白首烏のブームに乗り2013年に上場、コスダック(米ナスダックに倣って作られた韓国の新興企業向け株式市場)では第8位の時価総額になっていた。

韓国に自生する植物由来の生薬

 では、白首烏と異葉牛皮消とはいったい何なのか。

 どちらもガガイモ科であり、一見するとよく似ている。だが、白首烏は韓国の生薬として認められ、食品の基準や規格にも記載されているが、異葉牛皮消は生薬として認められていないばかりか食用禁止植物であり、服用した場合、神経衰弱や体重の減少などの毒性が見られるという。

 白首烏は朝鮮半島の自生植物なので、中国や日本の薬の大辞典には載っていない。韓国の生薬規格集によると、赤何首烏が何首烏で、白何首烏が白首烏だ。