本記事は3月19日付フィスコ企業調査レポート(ダイキアクシス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 瀬川 健

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水環境事業を柱とする環境創造開発企業

 ダイキアクシス<4245>は、水環境事業を柱に、「人と自然により優しい環境づくり」を目指す環境創造開発企業。2014年12月期の売上構成は、環境機器関連事業が48.4%、住宅機器関連事業が49.3%、その他、新規事業が2.3%となる。前身のダイキ(株)時代から、水処理技術や住宅機器の販売・施工などの事業で培ってきた経営資源に加え、M&Aで獲得した技術・製品や顧客基盤を活かし、独自の発想による複合的な新規事業を積極的に行っている。収益の稼ぎ頭である排水処理システムでは、クボタ<6326>などの大手と市場を棲み分ける。メンテナンスを含む一貫体制により、営業力と新製品開発に強みを発揮。食品加工業など特殊性のある排水処理にも強い。

 既存の顧客向けに、地下水飲料化による上水を安定・低価格で提供するエスコ事業、排水などを熱源とする温度差エネルギーシステム、排水を再利用する中水事業と新製品開発戦略を展開している。一方、既存の技術・製品を活用する新市場開拓戦略では、2013年秋にインドネシアの浄化槽メーカーを買収し、東南アジア市場での橋頭堡を確保した。すでに現地仕様の製品を開発し、生産能力を5倍とした新工場を竣工、稼働させるなどスピード感のある経営を行っている。

 日本政府は、日本企業によるインフラ輸出を2020年までに3倍の30兆円に増やすことを目標としている。現地の環境保全と経済的な発展を同時に実現するには、集合型下水処理場などの大型施設だけでは不十分であり、同社がターゲットする小中規模システムの需要も拡大しよう。

 2014年12月期の業績は、売上高が前期比2.4%増の31,506百万円、経常利益が同36.6%増の940百万円となった。2014年4月の消費税率引上げ前の駆け込み需要の拡大で、第2四半期時点で通期予想を上方修正していた。一方、2015年12月期は売上高が前期比1.6%増の32,000百万円、 経常利益が同11.6%増の1,050百万円を予想している。

 同社は、2013年12月に東証2部市場に新規上場し、翌2014年12月に東証1部へ指定となった。2014年12月期の配当金は、1部上場記念配を含めて30円へ増配、2015年12月期も30円配を据え置く計画だ。

Check Point

●国内外で需要の増加が期待される環境創造開発事業を展開
●16年12月期が最終年度の中計は経常利益を1年前倒しで達成
●バイオディーゼル燃料事業は大きな成長ポテンシャル

会社概要

住宅の水回り製品・機器の販売会社として設立したダイキが前身

(1)沿革

 1958年に、愛媛県松山市で住宅の水回り製品・機器の販売会社として創業した。1964年に、前身のダイキ株式会社が設立され、1969年に浄化槽の生産を開始。1978年に、ホームセンター事業に乗り出した。1993年に大証2部・広証に株式上場し、1996年に大証1部に指定、 同年11月に東証1部への上場も果たしている。2003年に、ダイキは同業のホーマック(株)、(株)カーマと業務提携をした。この3社が経営統合を決めたことから、2005年にダイキはホームセンター以外の業務を、受皿会社として設立されたダイキアクシスに譲渡した。その後、ダイキアクシスは、MBO(マネジメント・バイアウト)されており、現在はダイキとの資本関係はなくなった。

 ダイキアクシスは、環境機器関連事業、住宅機器関連事業及びバイオディーゼル燃料関連事業を分割継承した。あわせて、子会社7社((株)ダイテク、(株)環境分析センター、川内ダイキ(株)、津島ダイキ(株)、福島ダイキ(株)、信州ダイキ(株)、大連大器環保設備有限公司(現:大器環保工程(大連)有限公司)を譲り受けた。