本記事は3月25日付フィスコ企業調査レポート(テクノアルファ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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14/11期は大幅増収増益、グループシナジーを活かした成長へ基盤づくり

 テクノアルファ<3089>は、半導体製造装置の輸入商社から出発したエレクトロニクス関連主体の商社。パワー半導体用ワイヤボンダでは、国内シェア約5割とトップクラス。2011年9月に計測・検査システム機器の(株)ペリテックを子会社化したのに続き、2014年1月に理化学機器メーカーの(株)ケーワイエーテクノロジーズ(以下KYA)を子会社化するなど、M&Aにも積極的で、国内でのメーカー機能の強化も進めている。

 2014年11月期の連結業績は、半導体装置やマリン機器等の大型案件が寄与したことで、売上高は前期比39.1%増の3,585百万円、営業利益は同256.7%増の304百万円と大幅増収増益となった。このうち、新規連結したKYAの影響額は、売上高で303百万円の増収、営業利益で8百万円の減益要因となった。

 2015年11月期業績の会社側見通しは非開示となっているが、期の前半は減収減益となる可能性が高い。前期の大型受注案件が一巡することや、円安の進展による仕入れコスト増も利益圧迫要因となってくるためだ。同社の仕入額の約6割は海外からの輸入で、為替予約により一部ヘッジはしているものの、すべてをカバーしているわけではなく、コスト増分を増収効果で補いきれない。ただ、足元の受注動向はやや動きが出始めており、期の後半に向けて回復に向かうものと予想される。

 2015年11月期に期待される商材としては、原油採掘プラントで用いられる油水分離用SiCフィルターのほか、半導体外観検査測定器が挙げられる。いずれも、見込み顧客から好評価を得ている。売上規模としてはまだ小さいものの、着実に収益に貢献してこよう。また、ペリテックでは静岡大学と共同で自律神経活動を解析可能な高性能心電図計測システムを開発している。早ければ2015年11月期中にも市場投入したい考えだ。その他、2015年11月期は子会社との共同開発や、営業ネットワークの相互活用等グループシナジーも追求していく方針で、2016年11月期以降の成長に向けた基盤づくりを進めていく方針だ。

Check Point

●主力はトップシェアの半導体用ワイヤボンダ等のエレクトロニクス事業
●油水分離フィルターや半導体外観検査装置など注目新商材を投入予定
●配当性向30%を目安に安定配当、優待制度に長期株主の優遇策導入

事業概要

主力はトップシェアの半導体用ワイヤボンダ等のエレクトロニクス事業

 同社はワイヤボンダ等、半導体製造装置の輸入商社から出発した技術専門商社である。事業セグメントは、(1)パワー半導体用ワイヤボンダ及び消耗品を中心とした「エレクトロニクス事業」、(2)「マリン・環境機器事業」、(3)子会社のペリテックで手掛ける「SI事業」(計測・検査システムの製造販売、及びコンサルティングサービス)に加えて、(4)2014年1月に子会社化したKYAの「サイエンス事業」(理化学機器の販売)と4つの事業セグメントに区分されている。2014年11月期の事業別売上構成比で見ると、エレクトロニクス事業が66.1%、マリン・環境機器事業が14.5%、SI事業10.9%、サイエンス事業が8.5%となっており、エレクトロニクス事業が同社の主力事業となっている。

 業界シェアの高い商材としては、パワー半導体用ワイヤボンダが国内シェア約5割とトップクラスで、マリン事業の中に含まれる救命ボート用昇降機では、海上保安庁向けで納入シェア100%となっている。