本記事は3月23日付フィスコ企業調査レポート(ルネサスイーストン)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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技術系エレクトロニクス商社、業界最大手とタッグを組みビジネス展開

 ルネサスイーストン<9995>は技術系エレクトロニクス商社で、社名が示すように、ルネサスエレクトロニクス<6723>の有力特約店という立場にあり、ルネサスエレクトロニクスの半導体製品取扱量において、同社はトップクラスの位置にある。

 同社の強みは、ルネサスエレクトロニクスや日立製作所<6501>グループという業界最大手クラスのパートナーとタッグを組んでビジネスを行っている点にある。重要なことは、同社が販社として受け身でいるのではなく、顧客企業に対して積極的なソリューション提案を含めた設計・開発支援サポートを行ったり、また、顧客企業からのフィードバックを仕入元企業に伝えて製品開発につなげたりと、同社自身による付加価値創出活動が行われている点だ。これがあることで、同社を中心にして顧客と仕入先とがひとつの集団を形成し、集団としての競争力維持・向上が実現されている。

 同社の業績は自動車分野からの影響が大きい。短期的変動と中長期的成長性の両面において自動車分野は重要だ。公知のとおり、自動車はエレクトロニクス化が急速に進行しており、同社が扱う自動車向け半導体製品の市場規模は一段の拡大が予想される。しかしながら他方で、この状況は同社の業績が自動車産業の好不況により翻弄されるリスクを背負っているとも言える。そこで同社は、商材として非ルネサスエレクトロニクス品の増強に注力中だ。そうした新商材の取扱量増加は、結果的に非自動車分野売上高の増加につながっていく可能性が高く、経営基盤強化につながると弊社では期待している。

 現行3年中計の2年目に当たる2015年3月期は、現会社予想が達成される可能性が高いと弊社ではみている。2016年3月期は中計目標では売上高100,000百万円、営業利益率2%とされているが、売上高は、前年同様、若干引き下げられる可能性はみておくべきであろう。しかし営業利益率は着実に改善基調にあるため、利益の大幅減額とはならないものと弊社ではみている。弊社が最も注目するのは2017年3月期からの新中計だ。現時点では概要すら明らかになっていないが、おそらくは前述した新商材の強化による経営基盤の強化に力点が置かれると推測される。その準備は今現在、既に始まっている。投資家の、2015年3月期と2016年3月期の業績に対する視点も、表面の数字よりも中期的成長につながる施策の進捗に置かれるべきであると弊社では考えている。

Check Point

●需要先は「産業向け」と「自動車向け」、商社であるため利益は安定的
●海外企業を中心に新商材の導入を進めている
●「商材の多様化」と「仕入先の分散」で収益基盤の強化

会社概要

日立製作所と第1号の特約店契約で事業を拡大

(1)沿革

 同社は1954年に福島電気工業株式会社として設立された。かねてより電気・電子部品の販売を手掛けてきたが、日立製作所と電子管についての第1号の特約店契約を締結し、事業を拡大させてきた。途中、1984年に商号を株式会社イーストンエレクトロニクスに変更した。

 同社は日立製作所と密接な関係にはあったが、巨大コングロマリットである日立製作所の事業分野のすべてをカバーしていたわけではなく、半導体製品、電子部品製品の領域に特化していた。そうしたなか、日立製作所は汎用DRAMをエルピーダメモリとして、ロジック系半導体をルネサステクノロジとして分社化した。こうした流れの中、同社はルネサステクノロジの販売子会社であったルネサス販売と特約店契約を締結し、また2009年4月にはルネサス販売の子会社であった(株)ルネサスデバイス販売を合併し、現社名に変更した。その後、ルネサステクノロジとNECエレクトロニクスとの合併によるルネサスエレクトロニクス(以下、「ルネサスエレ社」)の誕生に伴いルネサスエレ社の特約店となった。

 このような沿革を反映して、ルネサスエレ社が最大株主として同社株の30.03%を保有するほか、日立製作所も2.56%を保有しており、ビジネスと資本の両面において、両社と深いつながりを有している。ルネサスエレ社による同社株の保有に関しては、同社が2月25日に発表した「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」により、ルネサスエレ社保有の同社株を150万株売出すこととしているが、これは同社よりルネサスエレ社へ依頼し投資家層の拡大及び株式流動性の向上を図るためであり、両社は強固な関係を維持している。

 株式市場には1984年に店頭登録をして株式を公開した。その後、大阪証券取引所JASDAQへの上場を経て、2014年2月に東京証券取引所第2部に上場した。さらに同年9月には、早々に東証1部指定となり現在に至っている。