本記事は3月24日付フィスコ企業調査レポート(デリカフーズ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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業務用の八百屋として国内最大、食の安全に対する意識の高まりで取引拡大

 外食・中食業界向けにカット野菜、ホール野菜を卸す、いわゆる「業務用の八百屋」で国内最大手。「抗酸化力」など野菜の機能性に早くから着目し、顧客企業に対してメニュー提案を行うなど、付加価値創造型企業として成長を続けており、2014年12月に東証第1部に指定替えとなっている。

 2015年3月期第3四半期累計(4月−12月期)の連結業績は、売上高が前年同期比6.0%増の21,038百万円、経常利益が同67.8%増の610百万円と増収増益決算となった。売上高は、東京第二FSセンター(カット野菜製造のための工場、2013年7月竣工)が順調に稼働していることに加え、「食の安全・安心」に対する意識の高まりを背景に、新規顧客の開拓及び既存顧客での取引拡大が想定以上に進展し、堅調な伸びを見せた。また、利益面でもカット野菜の生産性向上など原価低減が寄与し、大幅増益につながった。

 2015年3月期の業績見通しは、売上高が前期比1.4%増の27,000百万円、経常利益が同48.9%増の750百万円と期初計画を据え置いている。第3四半期(10月−12月期)までの進捗率では売上高が77.9%、経常利益が81.5%に達しており、市場環境に大きな変化がなければ期初計画達成の可能性は高いと弊社ではみている。

 同社は2015年1月に、カット野菜製造のための新工場(FSセンター)の建設を目的に公募増資を実施し、約1,200百万円を調達した(オーバーアロットメント含む)。新FSセンターは、2015年4月に奈良、2015年11月に名古屋、2016年2月に東京で稼働を開始する予定となっている。これら3拠点の生産能力は、売上高規模の合計で年間約7,000百万円となり、同社の中期計画目標値である2017年3月期の売上高35,000百万円、経常利益1,050百万円を射程圏に収めることになる。

 今後は食品表示法の改正による機能性表示の解禁とともに、同社の強みがより発揮される市場環境になるとみられる。業績は短期的に償却負担増などの要因により、踊り場局面を迎える可能性はあるものの、中長期的には拡大基調が続くものと予想される。

Check Point

●契約農家から仕入れた野菜をそのまま配送するホール野菜事業が主力
●東京第二FSセンターが順調に稼動し生産性が向上
●物流の内製化で全体の物流コスト引き下げに寄与

事業概要

契約農家から仕入れた野菜をそのまま配送するホール野菜事業が主力

 同社の事業は、契約農家や市場等から仕入れた野菜を顧客の要望に合わせて加工し配送するカット野菜事業と、仕入れた野菜をそのまま配送するホール野菜事業、その他事業に分けられる。その他事業には日配品(卵、豆腐等)の販売、業務委託のほか、子会社のデザイナーフーズが外食企業等に対して行っているメニュー提案等のコンサルティング業務や、食品の栄養成分に関する受託分析サービスが含まれる。

業務委託: 同社が現在物流拠点を有していない北海道、東北の一部エリア、中国・四国地域等において協力企業に配送を委託している。

 2015年3月期第3四半期累計(4月−12月期)の部門別売上高構成比は、ホール野菜部門が52.8%、カット野菜部門が35.8%、その他部門が11.4%となっており、カット野菜部門の占める比率が上昇傾向にある。食生活スタイルの変化により、スーパーやコンビニエンスストアでのカット野菜の需要が伸びていることに加えて、最近では人材不足の影響で外食業界でも需要が増加していることが背景にある。