本記事は1月20日付フィスコ企業調査レポート(サンコーテクノ)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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「あと施工アンカー」でシェア40%強、業績好調

 サンコーテクノ<3435>は建設現場で使用されるファスナー(留め具)のメーカーで、特にコンクリート面に器具や設備を固定する際に使用される「あと施工アンカー」の市場で、約40%の市場シェアを有するトップ企業となっている。また、アンカーを設置する際に使用される電動油圧工具類や、引張試験機などセンサー技術活用機器などの製造販売を行っている。

 業績は好調が続いている。2015年3月期の第2四半期決算は、売上高、利益ともに期初予想を上回って着地した。主力の「あと施工アンカー」を始めとして、全般に好調な販売状況となり、全事業部門が増収増益となった。建築着工統計などマクロ経済指標のなかには、マイナス成長を示すものもあるが、それが同社の業績に影響を及ぼす可能性は低いと弊社ではみている。同社の主要製品が必ずしも新築の建築着工に依存するわけではないことと、同社製品が省力化、工期短期化、低コスト化等に寄与できる効能を有するためである。

 トピックスとしては、ここ数年の成長を支えた太陽光発電設備について、電力買取制度見直しの議論が起こっていることが挙げられる。結論から言えば、この議論による業績への影響は小さいというのが弊社の見方だ。理由は同社のターゲット客がこの議論から外れた小電力発電事業者であるからである。センサー事業ではドコモ・システムズ(株)との業務提携が発表された。将来性のある業務提携ではあるが、業績貢献には時間を要すると弊社ではみている。

 株主還元に意識の高い同社は、2013年10月に続いて2015年1月に再び株式分割を予定している。これにより、個人投資家が投資しやすい環境が整えられると期待されている。同時に、株主優待も発表された。この内容も個人株主に有利な内容となっており、株式分割と合わせて、個人株主数の増加につながるとみられる。こうした同社の取り組みは同社株の流動性拡大にも寄与し、機関投資家の注目拡大にもつながっていくことが期待される。

Check Point

●建設用ファスニング関連を中核に多角化・海外進出を推進中
●主力事業がけん引するほか全部門好調で増収増益
●通期は期初予想を据え置くが、収益拡大に期待

会社概要

建設用ファスニング関連を中核に多角化・海外進出を推進中

(1)沿革

 サンコーテクノは1964年、建設用鋲打ち銃、アンカー、工具などの販売を目的に三幸商事(株)として設立された。翌65年にはコンクリート向けのあと施工アンカー製品である「オールアンカー」の実用新案登録を行い、生産を開始した。これは現在まで続く長寿製品となっている。その後製品ラインナップの拡充を図る一方、1988年にはタイに生産子会社を設立した。また、2004年にはドリル事業の拡充のために石原機械工業(株)(現 (株)IKK)を子会社化した。

 事業の多角化戦略として2003年にセンサー事業の(株)スイコーを子会社化した。同子会社ではアルコールチェッカーやプリント配線板などの製品を製造している。また海外進出では2011年にベトナムにタイの子会社を設立した。現状はベトナム国内の販売拠点であるが、将来的にはタイ子会社同様に生産拠点とする計画だ。