“頑張り主義”を生んでしまう大部屋のオフィス

──本書では、無駄な頑張りを減らすにはオフィスレイアウトも見直したほうがいいと書かれています。部下を頑張らせないためにどのようなオフィスにするべきですか。

太田 日本のオフィスは、大部屋にみんなが机を並べ、仕切りのない環境で仕事をする構造になっています。このレイアウトは、みんなで一緒に仕事をしたり、常にコミュニケーションをとったりするのには便利です。しかし、知的な仕事、すなわち努力の質が求められる仕事にはまったく適していません。

──なぜ日本は大部屋になっているのでしょう。

太田 集団で、単純な事務作業を効率的に進めていくのに向いていたからだと思います。社員が手抜きをしていないかどうか監視するのにも適しています。

 その代わり大部屋では、じっくりアイデアを練っていたり資料を調べたりしていたりすると、サボっているように思われます。逆に忙しそうにバタバタしていると「よく頑張っている」と評価されたりする。その結果、ますます無駄な頑張りが広がっていくというわけです。質の高い努力を引き出して生産性を高めるためには、思い切ってオフィスのレイアウトを変えてみるのが有効です。

──どのようなオフィスが有効ですか。

太田 机と机の間に仕切りを立てるのは1つの方法ですね。できるだけ個人のスペースを確保して、集中力を高めて仕事をしてもらう。あとは、みんなが窓側や壁側を向いて座るという方法もあります。必要なときは後ろを向いて話しかけたり相談したりすればいいのです。

 そういう1人で集中できる空間をつくるのと同時に、意見交換をしたり雑談をしたり、あるいはミーティングをしたりするスペースもつくるといいでしょう。個人になるときとチームになるときの両方を実現できるレイアウトが有効だと思います。