地方で最も建物が大きい組織とは

 現在の日本の地方都市を概観すると、たいてい一番大きな建物が県庁や市役所で、一番大きな収入と支出をしている事業体も県庁か市役所であるという。当然、従業者が一番多いのも県庁か市役所であるという。

 つまり、市民の下僕たる公務員が一番大きなビルで仕事をし、一番多くのお金を扱い、一番多く税金から給与をもらっているのである。こんなことで地方活性化なんてできるのか、と思うのは当然だろう。

 そもそも民間企業が稼いだ利益の一部を税金として預かり、公共に費やすのが公務員の本来の仕事である。それが民間企業を差し置いて地方で最大の事業体であること自体、本末転倒ではないか。

 筆者は地方活性化の主役は民間企業であると考えている。企業の利益向上が第一であり、次いで雇用増大となり、賃金の向上という循環になり、最後に公務員が税金を徴収し、それを公共のために効果的に配分するということではないか。それなのに、自治体が前面に出て一体何ができるというのであろう。

官との関わりが深い組織は衰退する

 数年前に日本航空の経営破綻があった。負債総額は2兆円を超えていたらしい。なぜ、日本を代表する歴史ある航空会社が経営破綻したのか、当時は疑問を感じる人も多かったと思う。大きな理由として、労働組合が強く、年金を含めた人件費を柔軟に削減できなかったことが挙げられた。また、歴代の経営トップの放漫経営も理由に挙げられている。