アディダスとの250億円超という史上最高額の契約(契約年数は2015年4月1日から2023年3月末までの8年間)を先月、日本サッカー協会が発表した。

 サッカープレーヤーの香川真司やプロ野球の巨人も契約することで知られるアディダスだが、これまでの160億円(2015年3月末までの8年間契約)に100億円近く増額となった異例の契約更新で、市場や業界関係者を驚かせた。

減益、株価下落で苦境のアディダス

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アディダスは日本サッカー協会と新たに8年間の大型契約を締結〔AFPBB News

 日本でも話題に事欠かない世界第2位の独スポーツ用品メーカー・アディダスだが、今、世界のM&A市場を注視する投資家の熱い視線を受けている。香港とアブダビの投資会社が、アディダスに同社傘下のリーボックの買収を提案するとの噂が市場を駆け巡っているからだ。

 リーボック買収を主導するのは香港拠点の「ジンウェル・キャピタル」。アジアの資産家、劉一族の投資会社で、今回、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビの政府系ファンドと手を組み、約17億ユーロ(約2400億円)での買収を提案する計画という。

 アディダスがこの買収提案を受け入れるかどうかは不透明だが、「アディダスやリーボックの経営状況等を考慮すれば、いい条件だ。しかし、経営陣からすれば敗北をも意味する売却をどう捉えるかという問題もある」(欧米の投資家)と、同社の今後の対応が注目されている。

 というのも、アディダスは2006年、リーボック(本社・マサチューセッツ州)を約30億ユーロで買収。世界第1位の米国ナイキ(本社・オレゴン州)に対抗し得るスポーツメーカーを誕生させ、逆境の米国市場で販売拡大を見込んでいたが、皮肉にも買収成立後、ナイキがアディダス、リーボックからシェアを奪取し、さらに勢力を拡大させてしまった。

 調査会社のスポーツワンソースの統計では、米国のスポーツシューズ市場占有率は、アディダスによるリーボック買収劇が明らかになった2005年で、それぞれ10%と8%で2位、3位だった。

 それが2014年にはアディダスが6%、リーボックが約2%と両社のシェアは一層降下、業績不振が続いていた。一方、ナイキのシェアは2005年の35%から現在60%近くにまでにも上昇し、文字通り、世界トップの座をほしいままにしている。

 アディダスの株価にいたっては、今年41%も下落するなど、厳しい経営状況が欧州のスポーツ界に君臨してきた老舗企業の存在感をも揺るがしている。

 売上高ベースの業績でも、2012年度はトップのナイキが約2兆5300億円(営業利益は約3250億円)、2位のアディダスは、1兆9350億円(同約1540億円)。ちなみに、3位はプーマ(ドイツ)で約4490億円(同約150億円)、日本トップのアシックスは第4位で約2600億円(同約190億円)だ。