リーマンショック以降、低迷していたコールセンター市場(今風に言えば、電話以外のメール等もサポートするので「コンタクトセンター」)が、近年、スマホ普及と景況改善を受けて活況を呈している。

 この業界は、構造的な人手不足(オペレータ人材の定着率が低い)と、短い期間に集中する電話の着信ピークとオペレータ供給のミスマッチに悩まされ続けてきた。電話が集中する時は多数の人材を必要とするが、全てを自社で抱えると固定費が増大してしまう。

 しかし、その時代その時代の大きな波(「マイライン」サービスの開始、年金対応、携帯電話からスマホへの移行など)にうまく乗ることで、これまでやってこれた。多くの企業、特にB2Cや製造業にとって、サポート代行や営業代行までしてくれるコールセンターの役割は依然として大きいものがある。

「音声通話の地位低下」という危機

 一方、エンドユーザーの視点で見ると、注文、照会、またはクレームなどが、これまでの音声(電話)からネット、メール等に急速にシフトしている。記録のしやすさ、データの登録の容易さなど、どれをとっても電話の有効性は実はそれほど高くない。そのため購買プロセスなどは確実にネットに移行しつつある。商品を販売する企業から見ても、ネットの方が図解や動画で商品を詳しく説明できるし、注文の受け付けも手間がかからず間違いが少ない。

 明日、電話がなくなるということは考えられないが、顧客と企業をつなぐメディアとして、電話はもはや圧倒的な優位性を維持できる状況にはない。複数あるメディアの1つとして相対的に地位を下げているのが現状である。