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2025年は多くの日本企業で組織再編が進み、リーダーシップやマネジメントの在り方が改めて問われるようになった。事業を取り巻く環境が目まぐるしく変わる中、どのようにして組織を統率すべきか――。明治製菓でカカオを扱う新規事業部を立ち上げ、中核事業を担うまでに成長させた後、他部門との統合を経験した明治ビジネスサポート元代表取締役社長の山本実之氏は、「部門が統合されたとき、リーダーにしか果たせない役割がある」と語る。2025年9月に著書『明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上 「仕組み」で部下と顧客の心に火をつけろ!』(PHP研究所)を出版した同氏に、リーダーに求められる考え方や組織内で果たすべき役割について聞いた。
問題が報告されたら「まず褒める」
──著書『明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上』では、カカオ事業部の売り上げが伸びる一方で、クレームも多発した時期について触れています。当時、どのような対応を重視しましたか。
山本実之氏(以下敬称略) 私が営業のトップとして最も重視したのは、「バッドニュースファースト」という考え方です。悪い出来事やネガティブな情報ほど、できるだけ早い段階で報告してもらうように徹底しました。
そして、ここでのリーダーの態度や話の聞き方によって、その後の対応は大きく変わります。大切なことは、問題が報告された際に「まず褒めること」です。「この段階でよく報告できた。これは勇気のいる判断だったな」という具合です。そうすると部下は安心し、把握している情報を全て話してくれるようになります。その結果、選択できる打ち手を多く残した状態で、次の対応を検討できます。
一方で、最初に怒ってしまうと状況は悪化します。部下は叱責(しっせき)されること避けようとし、自分一人で対応しようとします。その結果、適切な対処ができず、事態が深刻化します。そして、取り返しのつかない段階になってから上司に報告するようになります。日ごろから率直に話せる空気をつくっていないと、隠す意図がなくても、現場で問題を抱え込んでしまうようになるのです。
原料を扱うビジネスでは、原料を納入してから顧客が製品を作り、それが市場に出るまでに時間がかかります。そのため、クレームが表面化するのも一定時間が経過してからになります。
問題が発生してから時間が経てば、場合によっては原料を使用したロットの特定が難しく、原因を突き止められないことにもなりかねません。こうした事態を招かないように、異変に気づいた時点で報告してもらえる関係性を築くことは必要不可欠でしょう。







