日本は「食の品質」を世界に輸出せよ

味の社会学(第12回)

2014.08.20(Wed)菅 慎太郎

 メーカーや企業が最も耳を傾けるべきなのは、消費者の声です。消費者が企業の動向に関心を持ち、商品の安全性に目を向けて、安心につながる説明を求め続ける。企業は商品を売るために、こうした消費者の声に応えなければなりません。つまり、消費者の声が、問題や課題を解決するきっかけやチャンスとなるのです。消費者の関心と声こそが、安全、安心を確立していく原動力になるのです。

 昨今は、ネットを通して様々商品やサービスの評判や口コミが広がるようになりました。ただし、その多くは匿名で、「後日」記載されるものばかりです。また、飲食店の書き込みを見るとほとんどは「挨拶がない」「皿をどんと置いた」「オーダーが遅い」など、オペレーションクレームばかりです。不平不満に思うなら、そのサービスを受けた時に当事者に言うべきです。あとからネット上で憂さを晴らしても、何ら改善にはつながりません。

 食を提供する者と食を得る者との間のコミュニケーションは、ネットに頼るほど薄れていき、認識や理解のズレが生まれていきます。よりおいしいものを食べたい、より安全な物を口にしたいというのであれば、匿名ではなく本人が堂々と当事者に向けて意見や批判をすべきなのです。

世界が求めている日本の品質

 食品会社が最も恐れるのは、消費者の「無言」と「無関心」です。日本企業は日本の消費者の厳しい目と声によって鍛え上げられてきました。世界トップレベルの安全への意識も、そのたまものと言えます。

 かつて「Made in Japan」の製品が世界を席巻しましたが、成熟した経済となった今では、モノよりもそのモノを作る基準としての「Made by Japanese」を世界に広めるべきではないでしょうか。世界の国々が欲しがっているのは、日本の消費者に鍛え抜かれた「品質」という価値なのです。中国産食品の問題にしても、現地で日本人の目を光らせることが食の安全と安心を確立させることにつながるはずです。

 中国やインド、ASEAN諸国など、アジア各国の成長は目覚ましいものがあります。日本が「先進国」だというのであれば、そうした国々に成長の道筋を示し、模範となるべきです。食糧危機、食品ロスの問題、安全への関心と興味、品質の向上など、世界の食の問題を解決するために「日本人によって」できることは今こそたくさんあるように思うのです。

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