全国的に猛暑が続き、台風が日本列島を直撃する中、間もなく収穫を迎える農作物が気になります。天気の変化は受け入れるしかありませんが、大きな被害が出ないことを祈るばかりです。
さて、8月に入り、食料自給率の統計結果が農水省より発表されました。強い農業、そして自立した国の食糧確保を目的として、「食料自給率向上」が叫ばれていますが、平成25年度は、カロリーベースで39%、生産額ベースでは65%と相変わらず低い水準が続いていることが示されました。
ただし筆者はやみくもに食料自給率を向上させるのがいいことだとは思いません。
確かに食料自給率を向上させることで、食料の価格変動のリスク回避や、「国産」としての安心感の醸成に寄与することができるかもしれません。とはいえ、この限られた国土と農地の中では適切に諸外国との取引を確立していかなければ、安価で安定した食は確保できません。日本の人口は減少傾向に入ったとはいえ、輸入食品に頼る関係は完全には捨て切れないのです。
ましてや、畜産業における飼料の海外依存度は依然として高い状況にあります。飼料米など飼料の国産化を進める施策が推奨されているものの、早急な条件整備や環境の構築は難しいでしょう。先進的な畜産農家の事例を挙げて国産飼料100%化を推奨する声もありますが、国内のすべての畜産に適用できる環境や条件を揃えることは容易ではありません。
食料自給率の改善に際しては、将来的な理想を描きながら、目の前の食を確立していくバランス感覚を持った施策の推進が求められています。「6次化」などの国内施策と並行して「食の安定確保・供給」を何よりも優先させなければいけません。