もはや食卓の主役?
お手軽“時短”料理の勢いが止まらない

「働きながら料理もしたい」ニーズに対応

2014.08.01(Fri)白田 茜

 一方、イオンでは、2011年にグループ化した「オリジン弁当」などで、惣菜に力を入れてきた。朝の営業時間を前倒しして利便性を高め、出勤前に食事を買うサラリーマンや、学校に子どもを送り出した後の主婦、高齢者など、朝の時間帯に新たな顧客を取り込んできた。夕方の時間帯にはできたての惣菜を提供し、集客に効果が上がっているという。

 惣菜のノウハウを蓄積してきたイオンでは、惣菜と冷凍食品コーナーを拡充している。総菜やサラダなどを「少量・適量」で販売する量り売りが好調という。和洋中華、サラダ、デザートなど、ちょっとした贅沢を楽しめる食材を豊富に取り揃えている。調理済みの惣菜を家族の人数分買って帰れば、料理を作る手間が省ける。しかもスーパーの惣菜に感じがちな“手抜き感”はない。どちらかというと、デパ地下にある惣菜に対して抱く“ハレの日”の食材のイメージに近い。

 イオンの量り売りは2011年にスタートし、全国200店舗で展開しているという。売り上げは好調で、導入店舗をさらに拡大する方針だという。

 コンビニ大手のローソンは、カット野菜に本腰を入れている。買ってきたら封を切るだけで洗う必要がない。価格も100円台という手頃さながら、品質にも力を入れる。土づくりにこだわった独自の農法で作られた野菜を収穫し、温度管理しながら食品工場でカット。水にもこだわり徹底した洗浄を行っているという。買ってすぐ使える簡便さと安心感が受け、カット野菜はヒット商品になっている。

家事全体の簡便化が進行

 農林水産省「食と農への理解を基礎とする新たなライフスタイルの確立に関する調査」の結果によると、普段の調理に関して、「手間をかけずに調理する」と回答した人は53.7%だった。これは、「手間をかけて調理する」と回答した人(23.8%)の 2 倍以上だ。「調理しない」と回答した人も22.2% だった。「調理に手間をかけない」と「調理しない」を合わせると7割を超えた。

 食事にかける時間も短い。同調査によると、平日は朝食「10 分程度」(37.9%)、昼食「15 分程度」(41.8%)、夕食「30 分程度」(48.3%)が最も多かった。 

 短い時間で調理や食事を済まそうとする背景には、調理が苦手というスキルの問題だけでなく、便利な食材が増えてきたので調理に時間をかけなくてもよくなった、という時短料理食品の増加もあるだろう。加えて、電子レンジの普及など料理する環境がよくなってきたことも料理の簡便化を後押ししている。重い食材を買いにいき、素材から料理するのが体力的に難しくなった高齢者も増えていることだろう。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る