料理の“時短化”が進んでいるのをご存じだろうか。手早く食卓に出せる食材のニーズが高まっており、料理にかける時間が少なくなっているのだ。

 小売と食品メーカーの時短料理への対応は急速に進みつつある。スーパーマーケットは調理済みの商品を拡充し、食品メーカーも時短料理の食材開発に力を入れている。コンビニエンスストアでも調理済み食品の「中食」を展開している。

 時短料理が進む背景について分析し、小売の現状と私たちの食卓がどう変わりつつあるのか、見てみたい。

店の食材陳列も時短料理型にシフト

 最近、スーパーで増えたと感じるのが“時短料理”商品だ。すぐ加熱できるようカットしてある野菜、味付けしてある肉や魚、電子レンジで温めるだけの商品などが並ぶ。あえるだけのパスタソース、ごはんに混ぜるだけの具材などのバリエーションも増えてきた。

 以前は、このような商品は店舗のお惣菜コーナーの一部に並ぶか、野菜コーナーの隅にカット野菜として置かれている程度だった。買ったらそのまま食べられる刺身やローストビーフも、それぞれ鮮魚と精肉コーナーに売り場が分かれていて選びにくかった。

 しかし、最近では、小売が時短料理コーナーを設置して、複数の食材の組み合わせを提案するようになってきた。温めるだけの商品やそのまま食べられるローストビーフなどのコーナーを隣接させ、来客した人が商品を選びやすくする工夫をしている。惣菜の種類も増え、中には豊富な種類の惣菜を揃え、グラム単位で量り売りする“ビュッフェスタイル”で集客する店舗も現れてきた。