今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(6月15日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、明星大学教育学部教授で一般財団法人親学(おやがく)推進協会会長、また内閣府の男女共同参画会議議員を務める高橋史朗氏をゲストに迎えた。親が親であるための学び「親学」を実践・提唱する高橋氏が、戦後の占領政策や現代の教育の問題点などを鋭く指摘したほか、日本の教育の未来に向けた提言を行った。

自尊心を失った子どもと、親になれない親たち

中山 今回は、明星大学教育学部教授で一般財団法人親学推進協会会長、内閣府男女共同参画会議議員の高橋史朗さんにお話を伺います。まず、高橋さんは日本の教育の現状をどうご覧になっていますか。

高橋 日本の教育における一番の問題点は、子どもたちの“心のコップ”が下を向いていることです。自尊感情や自己肯定感が低下傾向にあり、例えば「自分はダメな人間だ」と思う高校生が全体の3分の2を占めると言われています。

 なぜそういう状況になってしまったのかを考える必要がありますが、一方でこれは親や祖父母の問題でもあるのです。「最近の若者は」とよく言いますが、中高年のストーカーや自殺なども増えていて、「最近の中高年は」とも言わざるを得なくなっている。

 先日、岡田尊司氏の『父という病』がポプラ社から発刊されました。同氏には『母という病』という著作もありますが、適切な親子関係が結べずに苦しんでいる人が増えています。

 私が会長を務める親学推進協会では、日本ギャルママ協会と一緒に活動を行ったことがありますが、そこで分かったのは「両親から愛されたことがないから、どう愛していいか分からない」あるいは「褒められたことがないから、どう褒めていいか分からない」といった、親になれない親たちが数多くいるということです。

 今までは、言うなれば自然と親になることができましたが、近頃は親としての役割や責任などが分からずに思い悩む世代が増加しつつある気がしています。

日本の「精神的武装解除」を狙ったGHQの占領政策

中山 高橋さんは、教育以外の視点からも戦後の歴史研究を行っているそうですが、その取り組みについてお聞かせいただけますか。

高橋 致知出版社から『日本が二度と立ち上がれないようにアメリカが占領期に行ったこと』という著作を出したところ、2カ月で2万冊近く売れ、多くの好評をいただきました。この本には、米国がどんな考えに基づいて日本の精神的武装解除を行ったのかが書かれています。

 戦後、我が国では「太平洋戦争史」が教育現場に浸透しました。これは、1943年に米国務省が米国史観としてまとめた「平和と戦争」がベースになっており、典型的な善玉・悪玉史観から書かれています。