「米国で独禁法を懸念された提携よりも広範」
米ヤフーとグーグルは2008年に両社の提携について検討した。しかし米司法省が独占禁止法違反の懸念を示したため、この計画は白紙になった。
米ヤフーはその後マイクロソフトとの提携を決め、その検索エンジン「ビング(Bing)」と広告配信システム「アドセンター(adCenter)」を導入することになった。
マイクロソフトのヘイナー氏は「今回の日本における提携は、2008年の米ヤフーとグーグルが計画していたものよりも広範囲だ。グーグルはあれから2年もたたないうちに、日本の唯一最大の競合企業を自社の協力者にしてしまった」とも述べている。
さらにこの提携の適法性について、次のように疑問を投げかけている。
「グーグルはすでに日本の公正取引委員会から承認を得たと報告している。しかし公取委はまだ広告主や競合企業などから聴き取り調査をしていないはずで、疑問が残る。グーグルの言っていることが本当に正しいのか、今後数週間すれば分かることだろう」(ヘイナー氏)
マイクロソフトにとっては大打撃
前述のウォールストリート・ジャーナルの記事は、この提携が実現すればマイクロソフトは大きな打撃を受けることになると報じている。
マイクロソフトの日本における検索シェアはわずか3%。もしヤフーにマイクロソフトの検索エンジンを採用してもらえれば、そのシェアは60%近くまでに拡大するからだ。
なおヤフーは、「今回の提携はウェブ検索結果の表示に必要な検索エンジン部分と検索連動型広告の表示に必要な配信システムの部分に限定される」と説明している。
検索ページも自ら運営し、広告サービスもこれまで同様に独自で手がけるため、グーグルとの競合関係は変わらないという。「公正取引委員会とも事前に相談をしており、問題がないことを確認している」としている。
米サスケハナ・フィナンシャル・グループの予測によると、米ヤフーは今年1年で日本のヤフーから3億~3億5000万ドルの収益を上げる見込み。これにはヤフーブランドのライセンス料、検索エンジン、コンテンツ、メール、メッセンジャーサービスなどのサービス料金が含まれている。
ただし、米ヤフーの広報担当者は「(今回の話が)当社の業績に深刻な影響を与えることはない」とコメントしている。
日本とのサービス提供契約は2017年まであるからだという。マイクロソフトと進めている世界規模の検索提携にも影響はないとしている。