米P&G1兆1538億円と花王647億円、米ゼネラル・エレクトリック(GE)1兆5000億円と日立製作所3640億円、ファイザー1兆5000億円と武田製薬1589億円(2013年純利益実績・予想)、グローバルトップ企業と日系トップ企業では稼ぐ利益に、なぜこんなに差が出るのでしょう。
日本で1兆円以上の利益は世界34社中2社だけ
日本企業で1兆円以上の利益を獲得しているのはトヨタ自動車と東京三菱UFJ銀行の2社だけですが、世界には34社(中国、ロシアを除く、米フォーチュン誌調べ)も存在します。国際展開の広さ、戦略の違いなど様々な要因があるでしょうが、そもそも何か根本的に違いがある気がします。
スポーツでもビジネスでも、目標に対して一点集中できた方が有利です。
会社は、株主、従業員、顧客などの利害関係者のバランスを考えて経営を行っているわけですが、日本の会社はこのすべてを満たそうと、いわば八方美人的な経営なのに対し、グローバルな欧米企業では、会社の目的は成長と利益(株主)に集中しています。
社会的貢献などの活動も行っていますが、あくまで、主眼は株主への利益還元です。これは、欧米社会がとてもドライで温かみがない社会ということではありません。
会社は成長・利益を通じて最大の努力をして、社会的還元は個人個人の判断で寄付をしたりしているからです。1つの手段では、1つの目的しか達成できないので、会社には資源配分の効率化という役割が割り当てられているということなのでしょう。
それに対して、日本企業には、ハード・ソフト両面で多くの期待が寄せられていると思います。企業を成長させることはもちろん、働く人への心情的な配慮や社会的責任のある会社としての振る舞いなど、単にビジネスで勝つこと以上の期待を持たれています。
働く者としても、日本の会社ではやりがいとか、社会正義とか、お金以外の満足感も期待しています。
外資系では、自分に適した仕事、今後のキャリアパス、そして報酬としてのお金を期待します。もちろん、仕事を通じて自分のやりたいことはできます。ただし、それは会社の成長と利益という目的に合致している限りで、です。
顧客第一主義などと言っても、そこには社会正義としての理念を語っているのではなく、成長と利益を達成するための戦略が語られているのです。