どうすれば料理の写真を
おいしそうに撮れますか?

プロカメラマンに聞いてみた「シズル感」の極意

2014.05.09(Fri)麻生 千晶

 その次に、商品の立体感を意識しながらカメラの高さを調節する。俯瞰した高さが望ましいのか、それとも浅い角度の方がよいのかを決定。さらに今度は、被写体との距離を決める。例えば肉の場合は、近づきすぎると肉の質感が全面に出てしまい、圧迫感を与えてしまうから注意しなければならない。撮影する商品に合わせて「最もおいしそうに見える、ベストな距離」を探していくのだ。

 そうして被写体への高さや距離が決まったら、写真内の商品の占有面積を決める。写真上の文字の有無などにも関係するので、事前の打ち合わせ内容を思い出しながら余白や写真内の商品の大きさを考える。ここまでの作業を経て、いよいよシズル感を生み出す光(ライティング)のセッティングを始める。

シズル感の決め手は光

 「ライティングには、決まったルールがないのです。編集者やシェフから与えられたイメージにできるだけ近づくように、カメラマンが自分の経験に照らし合わせて光の当たり方を決めなければなりません」

 このように話す相澤さんが、ライティングの際に使っているのは主に3つのライト。写真全体の色合いを決める「メインライト」、影を消すための「サブライト」、そしてシズル感を生み出すための「ラインライト」だ。

 メインライトには大きな光源を用いて、全体を照らして色調や明るさを整えていく。食品撮影では「料理がおいしそうに見える」との理由から青よりも薄い黄色などの暖色系が用いられる。

 メインライトで光を当てると、商品に「影」が生じる場合がある。そこで登場するのがサブライトだ。ライトの色は白が多く、メインライトの演出を邪魔しないように、「影だけ」に光が当たるような位置に置かれる。

 最後に、シズル感を生み出すラインライト。実は、これはとても小さい光源で、「光らせたい」と思う場所をピンポイントに狙って光を当てていく。鋭いツヤ感を生むために、3メートルも離れたところから、その部分だけを狙って光を照射するケースもあるのだ。

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