どうすれば料理の写真を
おいしそうに撮れますか?

プロカメラマンに聞いてみた「シズル感」の極意

2014.05.09(Fri)麻生 千晶

 相澤さんは、食品撮影時には必ず背景を入れている。その方が、お店の雰囲気や空気感も併せて撮影すると、実際にお客様がその場で食べているリアリティを感じさせる写真になるからだ。

シズル感に裏技はないのか?

 ここで「シズル感を生み出すのに特殊な裏技はないのだろうか」との疑問がわいた。筆者の場合、メニューと実物の商品を比べて「あれ、思っていたのとちょっと違う」と感じた経験があるのだが・・・。

 「確かに以前は、乾燥を防いだりツヤを出したりするために、薬剤を商品に塗るという方法もありました。しかし、薬剤を塗ると、撮影後に商品をすべて廃棄しなければならず、現代では行われていません。商品の最高の状態を撮影していますので実物と異なるように感じるかもしれませんが、商品への特殊な加工はしていないのです」

 なんと意外な答えが。しかし、それでも特殊な技法がないのか食い下がってみた。

 「あるとすれば“湯気”ですね。撮影が15分以内に収まっても湯気が消えてしまう場合があります。その時は、商品の後ろに小さなガラスコップを置き、そこに熱湯を注いで湯気を立たせます。商品には触れませんが、見えないところで演出を加える場合はあります」

 決して商品には手を加えず、あくまで「おいしそう」と思ってもらうため商品の周辺で行う演出だという。商品には一切手を触れず、光を操ることで商品の一番の表情を生み出すカメラマン。その確かな技術によってシズル感溢れる写真は作られているのだ。

撮影時間は15分以内に収まったが、湯気が消えたため、後から熱湯を加えて湯気を作り出してから撮影に臨んだ。
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