どうすれば料理の写真を
おいしそうに撮れますか?

プロカメラマンに聞いてみた「シズル感」の極意

2014.05.09(Fri)麻生 千晶

意外なほど難しい白いご飯の撮影

 最も撮影が難しい商品はなにかと聞いてみると、その答えはなんと「白飯」だと言う。

 「コシヒカリの白さとササニシキの白さ。肉眼では両者の色・ツヤの違いが分かるのですが、写真でその微妙な違いを伝えるのは本当に難しい。光の当て方を間違えると、途端に古いお米のような黄色が出てしまうので細かな調節が必要です」

 また、同じく難しいのは焼き魚や焼き肉などの「焦げ」だとも言う。黒く見える中にも赤や青の微妙な色が交わっている。そのためピンクや青のライトを使って焦げの中にわずかに存在する色味を際立たせる必要がある。

 ほかにも、例えば中華料理は、全体的に底の浅い平皿への盛りつけが多く、立体感が出ないので、撮影には立体感を出すための撮影距離の工夫が必要になる。一方で、フレンチやイタリアンは、料理の盛りつけ方に高さがあるので、撮影に際しても立体感が得やすい。さらに皿の正面も分かりやすいので、中華と比べると撮りやすいという。

シズル感は写真から醸し出される臨場感

 シズル感は写真の一部に用いられている技法のように認識されがちだ。しかし、元々のシズル感とは、読者や見るものにいかに「おいしそう」と思わせられるかに注力した「写真全体から醸し出される臨場感」であると、相澤さんは言う。

 「撮影の主役は商品で、シズル感はサブ。商品を引き立たせるためのシズル感を前面には出さず、あくまで隠れた演出を考えるのが大切です」。例えば、隠れた演出として、テーブルや店内の壁を写すと、リアリティが追求され商品が引き立てられる。細微にわたって追求されたリアリティを写真全体に溢れさせることで、まるで肉の焼かれる音や匂いが画面を飛び出して読者の元へ届くような写真となるのだ。

 「みなさんが想像するような裏技や加工はそれほど使っていないのです。あくまでも光やお店の雰囲気を生かした撮影が、おいしさの演出には大切です」

 相澤さんは、食品の持つ魅力を最大限に引き出した「シズル感」溢れる写真をこれからもたくさん私たちに見せてくれることだろう。

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