「EV開発で◯○自動車と△△電気が提携」「次世代動力源、海外メーカーにも納入へ」・・・。
このところ、主要紙を中心に次世代エコカーの注目株である電気自動車(EV)に関する情報が盛んに報じられている。
ただ、先に当コラムで記したように、華々しい見出しとは裏腹に、既存エンジン車のようにEVを実用化するにはいくつかのハードルが残っている。電池メーカー、自動車メーカー双方の実態を知るプロにEVの現実を聞くと、意外な事実が浮かび上がってきた。
エコカーについて希望的観測が先走り?
7月初め、EVに注力する三菱自動車に対し、東芝が基幹動力源となるリチウムイオン電池を供給するとの派手な見出しが主要紙に載った。
記事によれば、今後、自動車メーカーは様々な企業から電池の調達が可能となり、割高だったEVの動力源、すなわちリチウムイオン電池の低価格化が進展するという。
この報道に他紙や専門紙誌も追随し、当該株価への注目度が上がった。だが、筆者が見る限り、反応は限定的となった。
先に当コラムでは、EVに注力する日産自動車が、発売予定の「リーフ」について、航続距離が当初の見込みよりも短かったとするデータを公表したと伝えた。
このため、株式市場関係者の間では、「当分の間、EVが実用には向かないという見通しが強まっており、(報道に)反応する投資家が少なかった」(国内証券のトレーダー)というのが実状のようだ。
少し意地悪な見方をすれば、エコカーという材料について希望的観測に傾いた記事が多数出てくることに、投資家が食傷気味になっている、と捉えることもできるのではないだろうか。
オバケのような大型バッテリーを搭載するのか
こうした中、EVを巡って興味深い話が伝わってきた。
自動車用リチウムイオン電池は、参入に名乗りを上げたばかりの東芝、ソニーの他、三洋電機、パナソニック、GSユアサなどがトップメーカーと知られ、すでに内外の自動車メーカーに製品を納入、あるいは供給を決めている。
こうした電池供給者にとって必要不可欠なのが、電解液やセパレーターといった原料や部材を供給する化学メーカーの存在だ。