火の使用を始めた太古から、人々はリスクを許容することで文明を発展させてきました。今の世の中はリスクを取ることがなければ車一台動かせず、インターネットの検索一本できません。しかしこのようなリスクに対し、多くの人は無意識です。
一方、望む、望まないにかかわらず、福島の人々は「放射能」というリスクを意識させられ、リスクと共に生きる、という選択をされて生きています。そのリスクは決して大きくはありませんが、自覚されたリスクには大きなチャンスがあります。それは、本当の意味で健康な将来へ向けての選択するためのカギなのです。
テルアビブ剣士たちとの交流
先日、とある学会でイスラエルのテルアビブを訪れる機会がありました。この時、全く偶然ですが、ロンドンの知り合いにそちらの剣道場を紹介いただき、稽古にも参加させていただくことができました。稽古の後には地元のパブで大いに盛り上がり、学会以上に成果の大きいイスラエル訪問となりました。
「イスラエルに来てどうだった?」
そこで知り合った何人かの剣士に、そう聞かれました。
「BBCやCNNで報道されていることと、現場に来て見るものは全く違うでしょう。みんな実際に来ると驚くんだよ」
「街中でいつも戦争していると勘違いしている人もいるし」
最初、街中を軍人さんが闊歩している姿を見てぎょっとしたのですが、逆に彼らのいる前でスリや強盗を行う人も少ないでしょうから、治安はそれほど悪くないのかもしれません。実際に、夜9時過ぎでもアクセサリーを着けた老婦人が1人で歩道を歩いているのを見かけました。
イスラエルと浜通り
かといって、いたずらに「イスラエルが安全だ」と言うつもりは全くありません。ウィキペディア(Wikipedia)にはイスラエルへの攻撃リストという項目まで存在します*1。
実際に道端のフリーマーケットでも必ず荷物チェックがありますし、エルサレムの入り口の警備は、それは厳重なものです。電車の中で武器商人と自称する人々に話しかけられたりもしました(彼らは単に私の観光ガイドを読みたかっただけですが)。
そうではなく、私が驚いたことは、イスラエルの方々に言われた言葉が、私が最初に浜通りに来た時に言われた言葉とあまりにも同じだったことでした。
「相馬に来てどうだった?」「巷で報道されてることと全然違うでしょう?」
「地元の人は食べ物のことなんてもう心配してないよ。でもいまだに防護服みたいなものを着て入ってくる人もいるんだよね・・・」