隈丸 このことはASEAN地域全体にとっても非常にプラスになりますし、カンボジアにとっても良い状態になると思われます。カンボジアはタイとベトナムの間にあるわけですから、それら両国に対するプラスワンとしての生産ネットワークにカンボジアも組み込まれていくことになるでしょう。

 今後も日本企業がASEAN全体に大きく進出していく傾向は続くでしょうし、ASEANは重要な生産拠点でもあり、重要なマーケットでもあります。経済統合により障壁がなくなったカンボジアが、ASEAN地域を相手にするにあたっての重要な一部となるでしょう。

 ASEAN諸国の成長は日本の成長にも繋がりますので、お互いにとってメリットのある状況になればと考えます。それぞれの補完関係が強くなります。日本のこれからの発展のパートナーとしてのカンボジアをはじめ、ASEAN諸国の役割は大きくなってきていると感じています。

――在任中にやっていきたいこと、また大使自身が成し遂げたいと考えていらっしゃることはありますか。

隈丸大使による在住日本人向け特別講演会と交流会の様子(シェムリアップにて)

隈丸 まだ1年足らずですが、カンボジアの方々とお付き合いをしていると、彼らが日本に対して持っている感情、関心は非常にポジティブなものだと感じています。

 今後もこの意識が継続していくことで、両国間のさらなる発展、進展していくところを見たいと思います。

 これはこれまでの日本および日本の方々の活動がかなり好意的に受け止められているためであり、この国に関わってこられた日本人の方々による貢献、存在、役割が大きかったのだと思います。こういった日本人の方々が今もカンボジアの各地には多くいらっしゃる状況です。

 カンボジアが大変だった時代から活動されているNGOの方々、様々な分野で活動されている専門家や、企業の方々など、カンボジアのために努力している人々の活躍をもっと皆さんの目に見えるように紹介するとともに、なんらかの形で応援できればと思います。

 これからは、日本のプライベートセクターの企業の役割が大きくなります。日本の進出企業は、会社の利潤だけを考えるのではなく、多くの企業がカンボジアやカンボジア人の役に立ちたいとの意識を持っています。両国のビジネスもウィンウィンの関係がきっと構築できると思います。