東京大学医科学研究所の上昌広教授には、医療関係の記事で日頃からいろいろアドバイスをいただいている。また、上教授が発行しているメールマガジン「MRIC」は医療関係を中心にホットな話題を毎日配信しており、JBpressではその記事をいくつか転載させていただいている。
肥満防止策が肥満を助長している米国の矛盾
JBpressに転載した記事の中で、恐らく大西睦子さんが書かれた「郷に入っても郷に従わず」の連載が最も読まれてきたと思う。身近なテーマで最先端の研究が分かるのでとにかく面白い。
中でも最も読まれたのが「カロリーゼロ飲料は、肥満とウツを誘発する」だった。
私たちの周りにあふれているカロリーゼロ食品。しかし、ゼロという表現の裏にはとんでもない落とし穴が潜んでいるという指摘だ。
カロリーゼロとは、簡単に言えば砂糖の代わりに甘味料を使っているわけだが、この人工甘味料が曲者だと言う。
「『ダイエットコーラを飲みなさい、脂肪ゼロの食品を食べなさい』。いま米国では、こんなアドバイスが、本当に正しいか疑問視されています」
「なぜなら、いくつかの疫学研究で、特にダイエットソーダに含まれているアスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料が、肥満や糖尿病の原因になることが分かってきたからです」
「動物実験でも、2008年にパデュー大学の研究者は、サッカリンを摂取したラットは、砂糖を摂取したラットに比べて、食べ過ぎのため体重が増加したことを報告しています」
何と、カロリーゼロ食品を取ると肥満になり、さらには糖尿病さえ引き起こすのだという。その原因は、カロリーゼロに安心して食べ過ぎること、また砂糖の数百倍も甘い人工甘味料は習慣性があり、甘いものを食べ続けるともっと食べたくなるのだそうだ。
この記事以外にも、「低脂肪の牛乳を飲むと子供は肥満になる」では、子供の肥満を防ぐため低脂肪の牛乳を飲むことが推奨されてきたことがかえって子供の肥満を助長させているという衝撃的な指摘もあった。