MRIC by 医療ガバナンス学会 発行
今回は、人工甘味料と肥満や糖尿病などの関係について最新情報をお伝えしたいと思います。人工甘味料って、どんなものがあるかご存知ですか?
サッカリンが一番古い人工甘味料で、1879年にジョンズ・ホプキンス大学の化学者コンスタンティン・ファールバーグ博士によって発見されました。
サッカリンは砂糖より300倍も甘みがあるのですが、苦味も強く、1937年にイリノイ大学のマイケル・スウエダ博士によりサイクラミン酸が発見され、苦味も改善しました。
その後、アスパルテーム, アセスルファムカリウム、スクラロース, ネオテームと、続々と新しい人工甘味料が発見され、味も随分改善しました。
発見当初、人工甘味料は『糖分摂取制限の必要な人のみ使用』とされていました。ところが、現在は人工甘味料の急速な普及のため、多くのひとが手軽に摂取しています。
ところで、みなさんに質問です。『カロリーゼロって、本当に体にとって影響ゼロなのでしょうか?』
『ダイエットコーラを飲みなさい、脂肪ゼロの食品を食べなさい』。今アメリカでは、こんなアドバイスが、本当に正しいか疑問視されています。
なぜなら、いくつかの疫学研究で、特にダイエットソーダに含まれているアスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料が、肥満や糖尿病の原因になることがわかってきたからです。
動物実験でも、2008年にパデュー大学の研究者は、サッカリンを摂取したラットは、砂糖を摂取したラットに比べて、食べ過ぎのため体重が増加したことを報告しています。
『カロリーがないのに、そんなこと信じられない!』と思いますが、最近の研究で次のような理由がわかってきたのです。それは、人工甘味料と肥満、糖尿病の関係は、体の生理的反応と人間の行動的、心理的な要素が関与しているのです。