50周年の節目を前に大リニューアル

 加茂水族館はこうしてたった一度のクラゲとの出合いをものにした。なにをやってもダメで、みんなから蔑まされていた劣等生が生まれ変わった。自分だけの得意分野を極めることで認められ、人気者になり、尊敬を集めるまでになったのだ。

 それを可能にしたのは、まるで子供のように抑えが利かない好奇心と探究心、そして全力の“悪ふざけ”だった。

 「悪いこともできないやつは立派な人間になれない」というのが村上館長の持論だ。確かに、新しいことに挑戦して世の中を変えるのは、往々にして子供の頃に危険なことやバカげたことばかりやって周りから叱られていたような人物である。

 加茂水族館は2014年にリニューアルオープンする。現在の建物は取り壊され、延べ床面積が約2倍の新水族館が建設される。世界最大級の円形水槽を設置して約1万匹のクラゲを展示するという。50周年という節目を前にしての大リニューアルである。

 奥泉氏は、「私たちの物語に終わりはありません。他の追随を許さない世界トップクラスの水族館を目指すという挑戦は続いていきます」と意気込みを語る。

 加茂水族館はこれからも型に収まらない突き抜けた水族館として、多くの人を驚かし、魅了し続けていくに違いない。建物がどれだけ立派になっても、模範的な“優等生”になることはなさそうだ。

 



 

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