先日、山形市で開かれた「知事はなぜ、ダムにこだわるのか!?」と題した集会に参加した。山形県が同県最上町に計画している最上小国川(もがみおぐにがわ)ダムの建設に反対する「最上小国川の清流を守る会」が主催したもので、同県出身の評論家、佐高信さんや、山形大学の地質学者、川辺孝之教授、小国川漁協組合長の沼沢勝善さんらがこのダム計画の無謀さを語った。

 実は、私も登壇したのだが、この問題にはそれほど詳しくないので、「震災とコンクリート文明」と題して、漁業資源よりも漁港作りに力を入れてきた水産行政の失敗が今回の震災で露わになった、という話をした。

 私が小国川ダムの建設計画を知ったのは2004年10月に最上町の赤倉温泉で開かれた「東北自然保護の集い」に参加したときのこと。鮎釣りのメッカである小国川でのダム計画だけに、これが実現すれば鮎の生態に大きな影響を与えると心配する釣り人が多かった。

 その後、「コンクリートから人へ」を掲げる民主党政権ができたので、この計画は白紙になったはずだと思っていたのだが、今回の集会で、白紙どころか、ダム建設を前提にした周辺道路の工事が始まったと聞いて驚いた。

穴あき型ダムでも防げない赤倉温泉の洪水被害

山形県のホームページにある小国川ダムの概念図

 山形県のホームページから、「最上小国川ダムの概要」を探し出すと、小国川が最上川の支流で、山のふもとに建設しようとしていることが分かる。ダムのイラストはもちろん美しく描かれているが、渓流をせき止める人工物の異物感はぬぐい去れない。

 このページを見ながら面白いと思ったのは、「参考資料」として、従来の貯留型ダムと、小国川に計画している穴あき型ダムとの違いが図入りで出ていて、穴あき型は貯留型と違って、土砂の堆積や富栄養化がないと説明されていることだ。穴あき型は洪水発生時だけ川の流れをふさいで貯水し、平常時は貯水を行わない。