「金賞ワイン」の実力やいかに?

男と女のワイン学(レッスン17)

2012.08.07(Tue)平野 美穂

 これには理由があります。決してボルドーの若い赤ワインだけが、世界のコンクールを総ナメしているわけではありません。ただ、ボルドーという地域には、1855年に制定された格付けシャトー(醸造所)だけで60もある上、全体でシャトーの数は約1万あるとも言われています。フランスをはじめとするヨーロッパの人々にとって、ボルドーにワイナリー(シャトー)を持つことは成功者の証しであり、シャトーの数は年々増え続けているのです。

 そうした状況の中で、自分のシャトーのワインを多くの人に知ってもらうのはなかなか大変なことです。そこで、利用するのがコンクールです。自分のワインを知ってもらう1つの方法として、品質に「お墨付き」を与えてくれるコンクールは非常に有効なのです。

 さらに 最近は醸造技術の向上で、熟成に何十年を要せずとも十分においしいワインが味わえるようになりました。安価で美味しい「安旨ワイン」が日本で流行しているのは、その表れと言えるでしょう。

 この種のワインは、コストを下げるためにも出荷を早める必要があります。地下の貯蔵庫で長年熟成させるコストは、かけられないというわけです。コンクールには、このタイプのワインが多く出品されています。高級ボルドーがもてはやされる日本のワイン市場で無名のカジュアルなボルドーワインを買ってもらうには、コンクール受賞がとても大きな意味を持つのです。

金賞ラベルに安心感を抱く消費者

 同じような動きは、アメリカやイギリスで販売されるオーストラリアワインにも見ることができます。

 オーストラリアワインは一般的に「大量生産された、カジュアルなワイン」と受け止められています。だからこそ、なおさら「品質が良いこと」がセールスポイントになります。

 一時期、アメリカ、イギリスで販売されるオーストラリアワインのボトルには、やたらと「金賞ワイン」のシールが貼りつけられていました。品質の良さを訴えるために、コンクール受賞をアピールすることがブームになったのです。ただし最近では消費者が混乱するとして、認定されたコンクールしか記せなくなりました。

 ワイン新興国でも、この手法はよく使われます。金賞ラベルが貼ってあれば、中近東や東ヨーロッパの見知らぬワインでも、消費者は安心に思えるからです。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る