経営力がまぶしい日本の市町村50選(1)

 東日本大震災から1年と5カ月が過ぎた。被災地の人たちは復興に向けて必死で頑張っている。しかし、「復興のスピードでは地域間格差が非常に顕著になってきた」と東京大学医科学研究所の上昌広教授は言う。

復興が遅れている原発補助金漬けの市町村

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 上教授は震災直後から被災地に入り医療支援を続けている。その様子は、飯舘村の健康診断などで以前お伝えした(「福島を聖地にするか廃墟にするか」)。

 医療活動には行政との関わりが不可欠なため、否応なく自治体の力の差を見せつけられることになった。

 被災地のほとんどすべての自治体を見てきた上教授の目に映ったのは、「首長に強いリーダーシップがあるところほど復興が早く、逆にリーダーシップが乏しく国の支援頼みの自治体は遅々としてはかどらない」ということだった。

 「とりわけ復興が遅れているのは、原発の補助金をたっぷりもらってきた市町村です。恐らく頼ることが身についてしまっているのでしょう。自発的に復興に取り組もうとする力が極めて弱いように見受けられました」

 上教授はこう話す。国であれ地方自治体であれまた企業であれ、危機は組織の力の差をあぶり出す。原発がらみの補助金は地域を潤しているようで、実は基礎体力を奪っているのだ。

 被災地におけるこの復興格差は、被災地だけの問題ではない。日本全体の問題であることを私たちは認識すべきである。

 1000兆円を超えて増え続ける国の借金、急速に進む少子高齢化、超円高による企業体力の急激な低下・・・。いま日本は大きな試練の真っ只中にいる。

 この未曾有の危機を乗り越えられるとしたら、それは自立しかない。誰かに頼っても問題は決して解決しないのだ。その格好の例が日本の地方にある。

 ただでさえ苦しいなかに過疎化という問題も加わってにっちもさっちもいかないように見える日本の地方。しかし、厳しい環境に立ち向かい、自分たちの力で問題解決をして住民が生活をエンジョイしている自治体が日本各地にある。

 もし、日本全体の市町村がすべてそんな自治体になったら日本は変わる。JBpressでは、そうした優れた地方の取り組みを「経営力がまぶしい日本の市町村50選」として、シリーズで取り上げていく。

 第1弾は、長野県下條村である。