昨日ネットで中国の人民網を覗いていたら面白い記事が見つかった。ヘッドラインは「武漢市漢陽区、都市管理局による武装部設置は調和イメージ樹立のためと回答(武汉汉阳回应称城管成立武装部为树和谐形象)」。今回は中国の地方都市で静かに進みつつある「武装化」を取り上げる。

都市管理局とは

人民解放軍、儀仗隊の訓練風景 中国

人民解放軍の儀仗部隊〔AFPBB News

 ことの起こりは8月1日、武漢市漢陽区都市管理局が40人の局員を武装して「民兵」組織に参加させ、同局活動中の「特殊兵」と位置づけたことだ。

 市当局がこの「武装部は戦時に解放軍の一部として参戦させる」などと発表したため、中国のネット論壇でも注目を集めた。

 この都市管理局、正式名称は「城市管理行政執法局」、中国語では略して「城管(chengguan)」と呼ばれるが、その権限は必ずしも明確ではない。設置根拠は1996年の「行政処罰法」のようだが、同法が定める「城管」の権限は驚くほど多岐にわたる。

 環境衛生から始まり、違法建築、公道違法占拠、無許可違法営業、公共事業管理、駐車管理、公園緑化、環境保護、工事現場管理、節水管理、湖水管理、違法車両、無許可観光業など各方面の「総合的行政執行を管理する」と規定されているのだ。

 要するに、警察のようでもあり、消防・保健所のようでもあるが、同時にいずれでもない。強いて言えば、これらのどの組織の管轄にも属さない事象を扱うのが「城管」のようだ。これだけ管理権限が多ければ、その力は強大であり、当然不正も絶えないだろう。

 一般に中国庶民の「城管」に対する評価は低いそうだ。元々は誰の管轄でもなかった「盛り場の行商人」などを取り締まるために作られた。その後本来の任務を逸脱し、賄賂は取るわ、暴力は働くわ、挙句の果てには市当局による農地強制接収まで手がけるようになる。

 その「城管」の連中が、こともあろうに、合法的に「武装」し専門的軍事訓練を受けたうえで「城管」活動の中核として働くという。多くの一般庶民は、既に十分過ぎるほど乱暴と悪評の高かった「城管」の活動がこれまで以上に暴力的になる、と心配しているのだ。

 武漢市当局は、「軍事訓練を通じて城管職員の国防意識、組織性、規律性、忍耐力、救援能力の向上を図る合法・合理的なもの」lなどと説明している。それにしても「合法、合理的」は当たり前の話。こう言わざるを得ないところを見ると、今回の措置には相当強い批判があるに違いない。

 ちなみに、「城管」の「軍事化、武装化」は今回の武漢市漢陽区が初めてではない。中国国内の報道によれば、既に2006年7月の段階で浙江省寧波市の海曙区城管局が「人民武装部」を設置、2008年には江蘇省高郵市でも同様の部が作られているそうだ。