みんなの党が中心になって内閣不信任案が提出され、消費税増税法案が廃案になる可能性が高まったと思った。実際、金融機関は敏感に反応していた。そのことを英フィナンシャル・タイムズ紙は「暴落の予言に抗う日本国債」で伝えている。

8月9日消費税増税法案が可決、韓国大統領竹島訪問

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 「8月7日には、最大野党の自民党が2015年までに消費税を引き上げる増税関連法案の採決を阻止するのではないかとの不安から、利回りが6%も急騰した。これは1日の上げ幅としては21カ月ぶりの大きさだ」

 ここ数日の政治の動きを見る限り、消費税増税法案が廃案になる可能性はかなり高かったと言える。しかし、歴史は結局、日本に増税を迫った。

 ただし、それは日本の未来を考えた深謀遠慮の結果とは恐らく全く違う。

 民主党は解散時期の明言を求められ、自民党は若手に廃案にするよう突き上げられ、面子を失った民主・自民の団塊世代を中心とするリーダーたちによる妥協の産物だ。

 だからこそ「近いうちに解散」などという国民を小ばかにしたような発言が出てきた。

 野田佳彦首相は、民主党が政権を取ったときのマニフェストに消費増税を書いていないことを法案が通った後の記者会見で詫びている。

 しかし、マニフェストに書いていないどころか、首相自身が何度も繰り返して消費増税に反対してきた事実には全く触れていない。

 180度方針転換した理由を問われたくないという下心がありありである。そんな小さな志で日本の将来を変えるような決断をしてよかったのか。

 日本が置かれた極めて難しい時期のリーダーとしては全くもって不満だが、日本の未来を大きく変える消費税増税は決めたわけだから、近いうちという曖昧な態度ではなく、できるだけ速やかに解散すべきである。