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福島を「聖地」にするか「廃墟」にするか世界の頭脳と資金を被災地に~上昌広・東大教授の復興プラン

2011.05.28(土)  川嶋 諭

5月21日の早朝。福島市はほぼ快晴で、5月らしい清々しい陽気だった。クルマで東の方角に見える阿武隈山脈を目指す。後方にはまだ雪を抱いた吾妻山、安達太良山がそびえ立っている。美しい日本の風景である。道沿いには時おり、景色を楽しめる駐車スペースも用意されていた。

山道を登り終えるとそこには飯舘村が広がっていた

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 それほど急峻とは言えない山道を約1時間走ると、目の前が急に開けた。高いところでは標高約600メートルの高原地帯にある飯舘村に入ったのだ。

 街道沿いにある家々は地震による被害もほとんど見受けられず、道路も村役場直前の一部が損傷していただけだった。

 春の日差しが眩しいのどかな田舎の景色に目が吸い込まれていくような感覚がした。

 しかし、村には人影がほとんどなく、すれ違うクルマもない。

 田植えされていないどころか水も全く張られていない水田は、この村が福島第一原子力発電所の放射能汚染で計画的避難地域に指定されたことを雄弁に物語っていた。

 いつになったらこの美しい村から放射能汚染が消えるのか。きれいに手入れされた田んぼや畑、牧草地は主人たちを失い、いずれ荒れ放題になってしまうのだろうか。

 丘の上に建てられて、いかにも見晴らしのよさそうな小学校は廃墟と化してしまうのか。

 今は美しく見える目の前の景色を眺めながら、全く目に見えず消えるまで長い年月を要する放射能汚染の怖さを考えさせられた。

 5月20日土曜日は、東京大学の医療チームが飯舘村の村民に無料で健康診断と健康相談をする初日に当たる。国の指示で行うのではない。村民の健康を気遣った東大医科学研究所の上昌広特任教授が飯舘村の菅野典雄村長に話をもちかけて実現したものだ。

 上教授は福島第一原発の事故が発生してから、福島県に東大の仮設オフィスを作って、毎週のように福島県に入り、地域住民の診察に当たっている。

 「原発事故が起きてから、地元の人たちに何が起きてい…
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