米ヤフーは4日、全従業員の14%を対象にする過去最大規模のリストラ策を実施することを明らかにした。同日より2000人を対象に、解雇や段階的な異動を通知する手続きを始めるとしている。

 スコット・トンプソン最高経営責任者(CEO)によると、その目的は経営資源を主力事業に集中させること。同氏は「小さく、機敏で、収益性の高いヤフーへ生まれ変わるための重要なステップ」とリストラ策の意義を強調しており、これによりヤフーは年間3億7500万ドルのコストを削減できるとしている。

経営の混乱続く

米ヤフー、「数千人規模の人員削減を検討中」 IT系ブログ報道

ヤフーの経営混乱はまだ収まらない〔AFPBB News

 同社では昨年9月にキャロル・バーツ前CEOが突如解任され、今年1月には共同創業者のジェリー・ヤン氏が退任するなど経営の混乱が続いている。

 昨年10~12月期の決算は広告が不調で13%の減収を報告。通年の売上高も21%落ち込むなど不振続きだ。

 また今年1月にCEOに就任したトンプソン新体制の下で経営改革が進められているものの、同氏は経営陣の刷新を求める大株主、ヘッジファンドの米サードポイントと委任状争奪戦に直面するという問題も抱えている。さらに中国の電子商取引大手、アリババ・グループ(阿里巴巴集団)と日本のヤフーの保有株売却に向けて交渉を行っていたが、それも行き詰まったと伝えられている。

 今回の大規模リストラ策はこうしたタイミングで発表された。しかし市場関係者はその効果を疑問視しているようだ。

 米ウォールストリート・ジャーナルによれば、ヤフーは2009年のバーツ前CEO時代に米マイクロソフトとの検索サービスの提携に伴って5%の人員削減を実施した。2010年にも同規模のリストラを行っているが、その効果はいっこうに表れなかったと指摘されている。

「必要なのは成長戦略」

 一方米ニューヨーク・タイムズは、「ヤフーにとって問題となっているのは“利益率”ではなく“売上高”だ」とするアナリストの意見を伝えている。

 トンプソン氏が今回の発表で成長戦略を示さず、まずリストラ策を打ち出したことにアナリストは落胆しているようだ。このアナリストは「ヤフーは果たして成長するのか? それともゼロに向かっているのか? 我々は会社の方向性を決めるビジョンを示す経営者を求めており、人員削減は賢い選択ではない」とも述べている。