サムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長(70)を実兄である李猛熙(イ・メンヒ)氏(80)が遺産相続を巡る問題で提訴した問題が泥沼化の様相を見せてきた。
李猛熙氏の長男で韓国の大手財閥CJグループ会長の李在賢(イ・ジェヒョン)氏(51)がサムスン系列会社社員に尾行され、取り押さえられた社員が警察に告発されるという事件が起きた。さらに2月28日になって李健熙会長の2番目の姉(77)も弟を相手に訴訟を起こしたことが明らかになった。
兄弟間の紛争は、サムスンとCJというルーツが同じ2つの財閥間の骨肉の激突、さらに韓国最大の資産家の兄弟姉妹間の遺産相続を巡る争いに発展してきた。
提訴直後に始まった尾行、サムスン社員だった
尾行事件の顛末はこうだ。李在賢会長の専用運転手が、出退勤時などに数日間にわたって黒い乗用車に尾行されていることに気付き、2月20日にCJグループの秘書室に通告した。
CJ側はすぐに確認作業に入った。会長の車の進路をあちこちに変えたが、同じ車両がずっとついてくる。会長宅に設置した監視カメラの画像を調べると、17日頃から同じ運転手の車が会長の自宅近くを行ったり来たりしていることも分かった。
21日夜に会長の車を追って自宅前に来たこの車をCJの社員が取り囲んだ際に接触事故が起き、CJ側が警察に通報した。その結果、問題の車両を運転していたのがサムスン物産の監査チームに所属する次長だったことが明らかになった。
CJ側は23日に、李在賢会長を尾行したとしてサムスン物産次長を警察に告発、併せて韓国メディアに会長宅前の監視カメラの画像などを公開した。さらに「尾行が次長の単独犯行であるはずはなく、サムスングループによる全貌解明と謝罪」を要求した。
韓国メディアによると、21日夜にCJ社員が「疑惑の車両」を取り囲んだ際に、「お前、サムスンだろう!」と問い詰めたという。CJ側は尾行の事実を確認した段階ですでに「サムスン関係者の行為」であることに目星をつけていたことになる。
サムスン物産側は、「(CJ会長の自宅周辺には)サムスン関連企業などが保有する不動産があり、次長は事業上の検討のために付近に頻繁に行っていたと説明している」などとコメントして、組織的な尾行を否定している。
CJはグループとしての提訴を考えていた?
事実の解明は警察が手がけるが、韓国のメディア関係者は「理由はともかく、尾行があったのは間違いない。CJ会長の実兄がサムスン会長を提訴した直後から尾行が始まっており、提訴と尾行に何らかの関連があると見るのが常識的だ」と説明する。
それにしても、韓国を代表する財閥会長を尾行するとは穏やかではない。