サムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長(70)が、80歳の実兄に相続問題で訴えられ、韓国の経済界で大きな話題になっている。
80歳の兄が70歳の弟を相続問題で訴える。本格的な高齢社会を迎えつつある韓国でも珍しくない話だが、弟が韓国最大の財閥であるサムスン会長ということで、がぜん、社会の大きな注目を浴びてしまった。
韓国きっての富豪一族のお家騒動
韓国最高の富豪一族の争いはこういう話だ。
サムスン創業者である李秉喆(イ・ビョンチョル)氏(故人)の長男である李孟熙(イ・メンヒ)氏(80)は、ソウル中央地方裁判所に、「父親が生前に第三者の名義で保有していた株式などを李健熙氏が他の相続対象者に知らせずに自分の名義に変更した」として、「正当な取り分」に相当するサムスン生命保険やサムスン電子の株式などを譲渡するよう求めて提訴した。
韓国メディアによると、李孟熙氏が求めた株式や現金などは合わせて7000億ウォン(1円=14ウォン)以上という巨額なものだという。
それにしてもサムスンの創業者が死去したのは25年も前の1987年のことだ。今回焦点になる「相続回復請求権」の時効は10年だが、李孟熙氏は、「昨年、李健熙氏から相続についての文書が届くまで、第三者名義になっていた株式があったことを知らなかった」と主張、時効には抵触しないと主張している。
訴えた長男は「悲運の皇太子」
提訴になったことで、法律的な論争は裁判所の判断に委ねられることになったが、今になって訴えた李孟熙氏と訴えられた李健熙氏の心中はいかなるものか。これほど社会的体裁の悪い争いもなく、経済界でも今になっての提訴に驚く声が多い。
サムスングループが李健熙会長の強力なリーダーシップでここまで成長したことは間違いない。だから韓国でも、李健熙氏を「創業者の長男」だと思っている人も多い。