牡蠣が美味しいシーズンだ。都内のオイスターバーのメニューにはズラリと国内産の牡蠣が並んでいる。広島産、長崎産、北海道産・・・。しかし、宮城県産がどこにも見当たらない。
東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた宮城県の牡蠣養殖。気象庁の発表によると、県の2観測地点のうち三陸沖にある石巻市鮎川では、7.7 メートルの津波が押し寄せたと推測されている。
宮城県の今シーズンの生産量見込みは例年の1割程度と激減。その影響は宮城県内だけに留まらない。宮城県は、孵化後まもない種牡蠣を全国に供給しており、シェアは全国一だ。今後、全国の牡蠣生産量に大きな影響を及ぼしかねない。
今回は、宮城県の牡蠣養殖の復興と、今後の全国の牡蠣生産量を展望してみたい。
津波の爪痕大きく、全国の牡蠣生産量が減少
農林水産省が2011年11月10日に発表した「平成22年漁業・養殖業生産統計」によると、「かき類」の全国の生産量は19万8800トン。津波の被害を受けた宮城県、岩手県などで生産量が減少したため、前年に比べて全国で1万1400トン(5.4%)減少したという。
全国の牡蠣生産量に占める被災県の割合は、岩手県などを含めて33%。そのうち宮城県産は23%を占める。
津波は大きな痕跡を残している。被災地の養殖施設の被害額は2011年8月23日時点までで1300億円に上る。津波の被害に遭ったのは養殖施設に留まらない。船や自宅を流されてしまった生産者も多い。港湾も壊れたままだ。養殖を再開する前に課題が山積している。
宮城産牡蠣の生産量は10分の1に激減
宮城県漁業協同組合によると、今シーズン、宮城県でカキを出荷したのは18支所のうち7カ所のみ。予想される生産量は約420トンで、例年の約10分の1に留まる見込みだ。