日本が直面する諸問題を取り上げたエコノミスト・カンファレンス「ジャパン・サミット2011」リポート最終回の今日は、「2012年と新たなリーダー」をテーマに行われたパネルディスカッションの内容をお届けする。
パネリストは、民主党政策調査会長の前原誠司氏、国連事務総長特別顧問(人間の安全保障)・前国連大使の高須幸雄氏、テンプル大学日本校現代アジア研究所所長のロバート・デュジャリック氏、司会はエコノミスト・インテリジェンス・ユニットのチャールズ・ゴダード氏。
このセッションでは民主党・前原氏の基調講演と併せ、主要国で政治的リーダーが代わる可能性がある2012年、日本が世界、とりわけアジアとどのような外交や戦略的パートナーシップを行うべきか議論が行われた(前原氏の基調講演内容はこちら)。
尖閣事件を機に日米同盟の適用範囲が明確化した
司会 世界における日本の立ち位置をテーマにお話をうかがっていきたいと思います。まずは中国との関係について。
前原 日中の貿易関係は拡大し、経済的な相互依存度は強まるばかりです。私は中国との関係はwin‐win(ウィンウィン)でなければならず、どうやってそういう方向に導くかが日本外交の課題だと思っています。
日本の安全保障の基盤は日米の同盟関係です。当然、中国の軍事費拡大については明確な責任を求め続けていく。同時に中国には別の意味での地域安定化のために役割を果たしてもらわないといけません。
6者協議の議長は中国ですから、北朝鮮の核開発を放棄させるために動いてもらい、われわれはそれをバックアップする。中国を封じ込めるとか、敵対するとかいうことは、日本にとってマイナスでしかありません。
尖閣事件は日本と中国、両方が傷ついた問題でした。他国に警戒感を抱かせる結果となったことは、中国も自ら認めています。
ただ、日本にとって意義深いこともありました。私が国連総会に出席してクリントン国務長官と会談したとき、尖閣も日米安保条約第5条の適用範囲であると明確に述べてもらったことです。
日本の領土・領海、施政の及ぶ範囲において日米安保条約が適用されることを世界中に示したことになると思っています。