「甘い物は歯に悪い」「食べかすをそのままにしておくと虫歯になる」

銀座並木通り坂本矯正歯科クリニック院長・坂本紗有見

 ――子どもの頃から、家や学校で繰り返し言われてきたので、これをお読みの皆さんも「食べたら磨く」習慣はしっかり身についていますよね(歯科医として、そうであると信じています!)。朝晩だけではなく、職場にも歯磨きセットを常備している方もきっと多いでしょう。昼休み終了間際の女子トイレは、歯磨きしながらの社交の場になっていたりもします。

 ところが、歯磨き熱心な人でも、意外と飲み物には無頓着です。歯の敵は食べ物だけではありません。今回は、飲み物にも、お口の健康を脅かす危険があることを勉強して頂きます。

加糖飲料のダラダラ飲みや、お酢ドリンクで虫歯リスクアップ

 最初に、「虫歯の仕組み」を簡単におさらいします。虫歯の原因は、お口の中にいる虫歯菌です。虫歯菌は、栄養源の糖分を分解して酸を出し、この酸が歯の表面を少しずつ溶かすことで、やがては歯に穴が開き虫歯になってしまいます。

 虫歯リスクをコントロールするには、虫歯菌が酸を出す時間をできるだけ短かくすることです。仕事をしながら砂糖を入れたコーヒーを飲む人や、糖分の入ったペットボトル飲料を飲んでいる人は要注意です。特に、何時間もかけてチビチビと飲んでいると、その間、口の中がずっと酸性の状態となり、虫歯リスクが高まります。仕事中のコーヒーやジュースは決まった休憩時間に飲むのが理想的。飲み物が手放せないのであれば無糖飲料に限ります。

 そして、危険な飲み物は甘いものだけではありません。実は、お酢のドリンクが意外な伏兵です。お酢には疲労回復効果があり、昔から健康食材として日本の食卓に欠かせない調味料でした。ここ10年ほどは、美肌効果やダイエット効果などにも注目が集まり、すっかり「健康飲料」としても定着しています。黒酢などをご家庭で水やソーダで割って飲んでいる人も多いでしょう。最近は、韓流アイドルのKARAがCMキヤラクターを務める紅酢ドリンクが話題になっていたり、コンビニの棚にも、手軽なお酢系の清涼飲料が並んでいます。