「地元、宮城の米を使って作った、アルコールの入っていない甘酒です。ひなまつりにお子様が安心して飲めるように開発しました!」
仙台駅にこのような声が響き渡ると、中央改札口前コンコースの特設売り場に人だかりができた。山積みにしていた商品は、瞬く間に売り切れてしまった。
大勢の通行人が買っていった商品は、宮城ふるさと酒造が作った「ノンアルコール」の甘酒「糀(こうじ)みるく」である。地元宮城県産のひとめぼれ米を使用した、無糖、無添加で必須アミノ酸やビタミンが豊富な米麹発酵飲料だ。
予想以上の反響に嬉しい悲鳴
これは、2月16~17日にJR仙台駅の構内で開催された「農商工連携逸品会~農商工連携の“宝さがし”~in仙台」(主催:ブランド総合研究所/東北・食の発掘実行委員会)でのワンシーン。
農林水産省の「食農連携促進事業(開発商品等販売促進支援)」の一環として開催されたイベントで、東北の農水産物を活用して商品化した新商品(加工食品・飲料など)の展示、PRと販売を行うもの。
農商工連携などの支援策で作られた新製品など、34社が自社商品を展示した。そのうち28社が実際に73の商品を販売したのだが、2日で3万人が訪れ、初日に売り切れる商品が相次いだ。
「最初は、商品を多く持って来すぎて売れ残るんじゃないかと心配していたんですが、想像をはるかに超える量が売れて、驚いています」とイベント担当者は嬉しい悲鳴を上げていた。
こうした状況が生まれたのは、販売コーナーに隣接して設けた「紹介ステージ」での3分間スピーチの効果が大きい。これは1日に3回、出展者が順番にステージに上がり、3分の時間を使って自らの商品の魅力をアピールするというもの。
最初はおどおどしていた事業者が回を重ねるごとに堂々と、そして上手にアピールするようになる。紹介タイムが終わり、地元テレビ番組の人気パーソナリティーとのかけ合いスピーチも終わると、その事業者の展示コーナーにはとたんに人が集まり、商品が売れていくのだ。