青い海、きれいな空気、豊かな自然に育まれた長寿の地と言えば、沖縄である。沖縄には、豊かな食文化がある。その中で、私の最近のお気に入りは、健康飲料として知られる「琉球もろみ酢」だ。

沖縄もろみ酢製造協議会員が開発した試作品「琉球もろみ酢XA」。今春に発売予定

 「酢」という文字を目にするだけで、酸っぱさが口の中いっぱいに広がってくるような気がするが、実は「琉球もろみ酢」は、いわゆる酢とはちょっと違う。

 酢酸を含む食酢とは違って酸っぱくなく、のどごしのいい飲料。ついついクセになってしまうおいしさなのだ。

 喉が乾いた時や運動した時もスッキリ飲めて、疲労回復にも一役買ってくれる。おいしくて、健康にもいいという、まさに一石二鳥の食品である。

原料は泡盛の「もろみ」

 琉球もろみ酢は、沖縄の焼酎「泡盛」の副産物「もろみ」を原料として作られる。泡盛は600年の歴史を持つ国内最古の蒸留酒と言われ、世界的にも類のない黒麹菌を使って造られているという。

 他の麹菌に比べ、黒麹菌はクエン酸やアミノ酸を多く作るという性質があり、他の雑菌が繁殖しにくくなる。また、この黒麹菌のおかげで、あの泡盛の独特な香りも作られるというわけだ。

 米と黒麹をじっくり寝かせてできた米麹を水と酵母を加えてタンクに仕込み、出来上がったもろみを蒸留して「泡盛」ができる。

 アルコール分を取り除かれて残ったもろみには、クエン酸やアミノ酸が豊富に含まれている。「琉球もろみ酢」が健康飲料と言われるゆえんはここにある。

 元来、沖縄では泡盛のもろみのことを「カシジェー」と呼んでいたという。これは漢字に直すと「酒粕(さけかす)」となる。泡盛を蒸留した後の粕という意味もあったのかもしれないが、粕というには、あまりに多くの栄養分が残っている。それを何とか活用できないかと考え、カシジェーを精製、濾過したことが「琉球もろみ酢」の始まりになったのだという。