杏林大学医学部・第二内科の准教授・池田隆徳先生への最終回となる今回のインタビューでは、不整脈の予防やその他の心臓病について話を聞いた。
ブルガダ症候群
――前回、心室細動を引き起こす病気の1つに、ブルガダ症候群という話が出てきました。生まれつきの遺伝子異常が背景にあって、若い人が突然死するということですが。
池田 ブルガダ症候群は、日本を含む東南アジアに多く、30代、40代の働き盛りの男性に見られる病気です。重篤な不整脈である心室細動によって失神し、場合によっては突然死に至る場合があります。
――男性に多いのですか?
池田 ええ、90%が男性です。特に、東南アジアや日本の男性に多いです。
――最近見つかった病気なのですか?
池田 この病気が見つかったのは1992年で、90年代の終わり頃から、医学書にも登場するようになりました。最近も、新聞などでよく取り上げられています。
――原因は、遺伝子ですか?
池田 遺伝子異常だろうと言われています。心臓の形態も機能も全く正常なのですが、電気的におかしくなって、今まで健康だった人が、30代あるいは40代にある日突然亡くなるので、クローズアップされてきました。
――事前に発見できるのですか?
池田 ブルガダ症候群の人の心電図の波形はかなり特徴的なので、心電図検査によってある程度事前に発見することができます。ただ、その心電図波形は1000人に1~2人の割合と高い頻度で見られ、その人たちすべてが危険な不整脈を来すのではありません。
そのうちの約10%くらいが実際に不整脈を来すということですから、様々な検査をして判別しなければなりません。