市場調査会社の米ガートナーが公表した最新の世界パソコン市場調査によると、米ヒューレット・パッカード(HP)の出荷台数が堅調に伸びているようだ。HPは今年8月、より収益性の高い法人向けサービス事業に集中することなどを理由に、パソコン事業の分離・独立(スピンオフ)を検討すると発表した。

HP、データセンターの能力向上と省エネ目指した新サービス

経営トップの交代が続くHPだが、パソコン販売は順調〔AFPBB News

 計画の発案者であるレオ・アポテカー前最高経営責任者(CEO)はその後更迭されたが、後任のメグ・ホイットマン新CEOはアポテカー氏の路線を踏襲することを示唆している。

 しかしガートナーによると、この7~9月期におけるHPパソコンの出荷台数は、1年前に比べ5.3%増となり、シェア17.7%で首位を維持している。

 HPはとりわけ米国市場に強みを持ち、同国における出荷台数は前年比15.1%増と高い伸び。シェアも28.9%で依然トップだ。

 別の調査会社米IDCも同じ日に調査結果を公表しており、「HPはここ数カ月、経営陣の人事でつまずいて批判されたり、多くの地域で消費者需要が低迷して影響を受けたりしたが、何とか市場平均値を上回っている」と述べている。

モバイル端末の影響色濃く

 ただ、世界全体で見るとやはりパソコン市場は芳しくないようだ。ガートナーによれば7~9月期の出荷台数は9179万台。前年同期に比べ3.2%増にとどまり、5.1%増という事前予測値を下回った。IDCの調査でも、9188万台、前年同期比3.6%増となっており、それぞれ概ね同じような調査結果となった。

 ガートナーの主席アナリスト、北川美佳子氏は「パソコン業界の業績は季節平均を下回った。成熟市場の新学期商戦は期待外れで、消費者向けパソコンが低迷していることを裏付けるものとなった」と述べている。