米グーグルによる米モトローラ・モビリティの買収に続き、また大きなニュースが入ってきた。パソコン世界最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)がその主力事業を分離・独立(スピンオフ)する検討に入ったと発表したのだ。

 また、昨年米パームの買収によって取得したばかりの基本ソフト(OS)「ウェブOS(web OS)」については、タブレット端末やスマートフォンの開発を打ち切る方針。その一方で、企業向けソフトウエアを手がける、英オートノミー(Autonomy)を買収すると発表した。

パソコンの粗利益率、わずか数パーセント

米HP、パソコン事業分離を検討 タブレットからも撤退

米カリフォルニア州パロアルト市にあるHPの本社〔AFPBB News

 調査会社の米IDCによれば、HPの4~6月期のパソコン出荷台数は1526万台で、シェアは18.1%と世界トップ。2010会計年度には約407億ドルを売り上げており、パソコン販売は同社全売上高の3分の1を占める事業。

 しかしアナリストの推計によると、HPパソコンの粗利益率はわずか数パーセント程度。 これに対し米アップルの「マック(マッキントッシュ)」パソコンは十数パーセント。

 またHPはパームのウェブOSを搭載したタブレット端末「タッチパッド(TouchPad)」を7月に市場投入したが、まだアップルの「アイパッド(iPad)」のような成功は収めていない。

 グーグルはスマートフォンOSを開発して市場参入し、携帯電話メーカーの老舗を買収するまでに至った。一方でアップルは、アイフォーンを発展させてタブレット端末を開発し、パソコン市場に大きな存在感を示している。

 こうした新たな勢力が既存メジャープレーヤーに戦略変更を余儀なくさせた。HPはパソコン事業の売却も視野に入れていると見られており、同社は今後、米IBMがパソコン事業を中国レノボ・グループ(聯想集団)に売却したような道を辿っていくのではないかと報じられている。

ポストPC時代、新しい指標で市場を分析

 ちょうどHPがこの発表を行ったと同じ日に、市場調査会社の米ディスプレイサーチが、ノートパソコンとタブレット端末を合わせた「モバイルパソコン」の調査リポートを公表した。

 それによるとアップルが、この4~6月期の世界出荷台数でHPから首位の座を奪っている。アップルの出荷台数は1360万台、これに対しHPは970万台だった。

 従来の市場調査では、パソコンとタブレット端末は別のものと扱われ、同じカテゴリーで評価されることはなかった。