
米アマゾン・ドット・コム傘下の自動運転車開発企業、米ズークス(Zoox)は、まもなくロボタクシーの試乗サービスを始める。米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。同社は2025年後半に米国で自動運転技術による旅客輸送サービスを開始する予定で、米テスラとの開発競争が激化するとみられている。
ズークスの地道な開発戦略
ズークスは現在、一般向けにロボタクシーを配備する準備を進めている。当初は、米西部のネバダ州ラスベガスとカリフォルニア州サンフランシスコで「早期ライダープログラム」を始める。その一環として、一部の参加者を対象に無料乗車サービスを提供する。2025年後半にはラスベガスで有料サービスを始める計画だ。
ズークスのCEO(最高経営責任者)であるアイシャ・エバンス氏は、同社事業の規模拡大戦略について、「極小」「小」「中」「大」の、4段階があると説明。現在は「“極小”の終わりの段階で、まもなく“小”の始まりに入る」と語り、着実な進捗を強調した。同氏は、米シリコンバレーの「迅速に行動し、破壊(現状を大胆に変革)せよ」という風潮とは対照的に、安全手順、メンテナンス、充電インフラなど、地道な作業の重要性を指摘する。
これに対し、テスラのイーロン・マスクCEOは長年にわたり自動運転車の早期実用化を主張してきた。同氏はかつて、2020年までに100万台のロボタクシーを配備すると豪語していたが、いまだに公道での実証実験は行われていない。
開発競争激化、ウェイモに次ぐ2位狙う
ズークスは、米グーグル系自動運転開発会社の米ウェイモに次ぐ2位の座をテスラと争っている。
ウェイモは米国でセイフティードライバーが乗らない無人ロボタクシーサービス「Waymo One」を展開しており、大きく先行している。ウェイモが単独で自動運転技術による旅客輸送サービスを展開している都市は、カリフォルニア州のロサンゼルスとサンフランシスコ、同じく米西部のアリゾナ州フェニックスの3都市である。これら3都市での利用件数は1週当たり計20万件超に達した。