経営難に陥っていた米パームを救ったのは米ヒューレット・パッカード(HP)だった。HPは4月28日、約12億ドルの現金でパームを買収することで両社が合意した、と発表した。
パームの身売りを巡っては、米グーグルのスマートフォンの製造で知られる台湾HTCや、中国のパソコン最大手レノボグループ(聯想集団)が買収の検討を進めていると報じられていたが、結局パームを救ったのはパソコン世界最大手のHPだったというわけだ。
パームのOS技術に目をつけたHP
今後、各国の規制当局やパーム株主からの承認を得る必要があるが、両社は7月末までに買収手続きが完了すると見込んでいる。これによりパームはHPのパソコン事業部に統合されることになる。HPの狙いは、パームが持つスマートフォン用基本ソフト(OS)だ。
HPには、米マイクロソフトのモバイルOSを搭載する「アイパック(iPaq)」というスマートフォンがあるが、ほとんど普及していない状態。HPにとって魅力的なのは、パームが持つ1000以上のOS特許技術のようだ。
今後はパームの技術を自社製品に採り入れ、不振なスマートフォン事業をテコ入れしたい考えだ。HPは発表資料で、「パームのOS技術で当社は競争激しいスマートフォン市場にこれまで以上に積極的に参加することができる」としている。
またHPのシェーン・ロビソン最高戦略・技術責任者は、タッチパネルを搭載したタブレット端末のOSとしても期待できると語っている。
米ウォールストリート・ジャーナルによると、今回のパームの買収にはリスクはあるものの、この約12億ドルという金額は、HPにとって1四半期分のフリーキャッシュフローにも満たない額で、それほど高い買い物ではないと報じている。
これによりHPは巨大なスマートフォン市場に一気に躍り出ることができるからだという。
年内にも現金がなくなるはずだったパーム
一方のパームは昨年(2009年)新OSの開発を終え、同年6月にはスマートフォンの新端末「パームプリ(Palm Pre)」を、11月には小型端末の「パームピクシー(Palm Pixi)」を発売した。