民主党政権が、観光振興と地域の活性化に取りかかろうとしている。
暮れも押し迫った2009年12月30日、「新成長戦略(基本方針)~輝きのある日本へ~」が閣議決定された。これは経済産業省が作成してきた「成長戦略検討会議」での議論を土台に、政府全体の方針を策定したものである。
今後この「新成長戦略」に沿って、2010年初めから「肉付け」の作業を行い、6月初めを目途に「成長戦略実行計画」(工程表)を含めた「成長戦略」の取りまとめを行うことになる。
新成長戦略を構成する戦略分野は6つある。その1つに「観光立国・地域活性化戦略」が掲げられている(ちなみに他の5つは「環境・エネルギー大国戦略」「健康大国戦略」「アジア経済戦略」「科学・技術立国戦略」「雇用・人材戦略」)。
訪日外国人の数は3000万人が目標
観光立国・地域活性化戦略において、「観光は少子高齢化時代の地域活性化の切り札」との位置づけがされている。
日本は、極めて地域性が豊かな観光資源に恵まれている。しかしこうした資源を十分に活用できているとは言い切れない。
そこで、国内外からの観光需要を発掘し、それを地域の交流人口増大に結び付け、各地の新たな産業として確立させ、地域経済の活性化や雇用拡大に結び付けようという戦略だ。
「観光立国の推進」の目標としては、訪日外国人を2020年初めまでに2500万人(将来的には現在の3倍以上の3000万人)とし、その経済波及効果を約10兆円、新規雇用56万人と掲げている。
特に急速に経済成長している中国をはじめとするアジア諸国からの観光需要をどのように取り込むかが大きな課題である。そのための魅力ある観光メニューづくりや広報活動、訪日観光ビザの取得容易化を行うことが不可欠であるとしている。
また、国内旅行に関しては、ゴールデンウイークや年末年始など特定時期に集中している現状を問題視しており、休暇取得の分散化を目指す「ローカル・ホリデー制度(仮称)」などの検討が挙げられている。