日本人の「国産」「天然物」信仰はスキだらけ

食に関するウソ・ホント~前篇

2009.12.17(Thu)森田 由子

 しかし、食品メーカーの中には、消費者の「天然物信仰」を利用して商品を手に取らせようと目論むところが存在する。消費者が正確に情報を読み解けないことを知っていて、必要のない「無添加」表示を強調するのである。

 そうした懸念から、日本食品添加物協会は「無添加」表示が優良誤認表示にあたる可能性を指摘し、協会会員と食品関連業界に、自粛を要請している。

 そもそも天然か合成かで、物質に優劣はない。例えばミントの香りの元は、ミントの葉から抽出できるが、化学的に合成もできる。どちらもその実体は「l(エル)-メントール」という、まったく同じ物質である。使用方法に天然・合成の区別はない。

 しかし、なぜか世の中には「合成」への拒否反応を示す人が多い。そういう人は、「天然の方が安全なんだから、天然物を求めるのは当たり前」と考えている。

 だが、それも正しい考えだとは言えない。かつてハムやソーセージ、菓子などに使われていた「アカネ色素」という着色料がある。セイヨウアカネの根に由来する、れっきとした天然物だ。だが、近年、動物実験により、発がん性が指摘され、現在は使用が禁止されている。

健康食品になって大歓迎されているお酒の友

 さて、悪者扱いされやすい添加物だが、健康食品に姿を変えれば大歓迎、ということもある。

 忘年会などで、アルコール摂取量が多くなるこの季節、ウコンやクルクミン配合の健康食品、飲料を準備している方も多いのではないだろうか。

 ウコンの黄色は、「クルクミン」という色素によるものだ。クルクミンは、「着色料」として「既存添加物」グループに登録されている。つまり、れっきとした「食品添加物」である。

 クルクミンは、その機能性が期待されている。しかし、ウコンの効能と言われている肝機能の改善や、胆汁酸分泌の促進などが、クルクミンだけで効率よく実現できるのか、あるいは他にも未知の効能があるのか、完全には調べ尽くされてはいない。「現在、検証中」というのが正確な状況である。

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