憲法改正というと第9条がからんでややこしい議論になるが、59条2項だけに限れば、過半数を得ることは困難ではないと思われる。国民投票を発議するには、衆参両院で3分の2以上の賛成が必要だが、大連立すれば衆議院で可決することは可能だろう。

参議院は「チェック機能」に徹したらどうか

 問題は参議院である。3分の2条項がなくなると、参議院で何を議決しても意味がないので、「これは実質的に参議院を廃止するものだ」という反対論が予想される。しかしイギリスの上院は、下院の決めた法律についてのチェック機関として機能しており、下院に再審議を求める権限もある。

 これによって参議院に政治的な意味はなくなるので、政党が参議院選挙に力を入れることはなくなるだろう。選挙区を廃止して比例区だけにすれば、終戦直後の「緑風会」のような有識者中心の議会になる可能性もある。

 多くの国で二院制が採られているのは、一時的な熱狂やカリスマ的な指導者によって議会が乗っ取られることを防ぐためだが、それには現在の日本のように同じ政党が二院で活動するより、まったく性格の違う議会が2つあった方がよい。

 例えば日本の国会では予算案は長時間かけて審議するが、決算はほとんど形式的な審議しかしない。参議院は監査法人などを委員にして、決算を徹底的にチェックする機関にしてはどうだろうか。

 衆議院はポピュリズム(大衆迎合)的な傾向を持つので、歳出削減をきらい、バラマキ公共事業や福祉を続けるバイアスが強い。それをチェックするには、参議院が決算を承認しないと次年度の予算が削減されるなど、一定のチェック機能を持たせることも考えられるのではないか。