もともと大連立というのは、小選挙区制では難しい。次の総選挙で候補者調整ができないからだ。2007年、福田康夫首相(当時)が小沢代表(同)と大筋合意したが、「選挙が闘えない」という党内の反対で失敗した。

 このため今回も、1年限りというように期限を切って連立する話が多いようだが、これでは国会を安定化させる効果も限られている。総選挙が近づいたらねじれ国会に戻ってしまうし、次の総選挙で自民・公明が圧勝しても、参議院では過半数に達しないので、またねじれ国会になる。

「衆議院の優越」の明確化が必要だ

 根本的な問題は、大連立という変則的な方法でしかまともな意思決定のできない日本の議会制度にある。

 民主党が模範とするイギリスでは、上院は選挙で選ばれないのでねじれは起こらない。アメリカの下院は中間選挙があるが、選挙が同時に行われるので、ねじれが問題になることは少ない。大統領と議会の対立は日常的だが、これは行政府と立法府なので、日本とは性格が違う。日本の衆参両院のようにほとんど同格の議会が同じことを2度審議するのは、世界的にも珍しい。

 私は短期間だけ民自公が大連立し、憲法59条を改正する国民投票を発議することを提案したい。

 これは衆議院の優越を定める規定で、次のようになっている:

第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

 この第2項の「3分の2条項」がねじれ国会の原因なので、これを「出席議員の過半数」と改正するのである。これによって衆議院の優越は絶対的になり、ねじれはなくなる。ここだけを改正する国民投票を行って、過半数の賛成があれば改正できる。